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第579話 名付けの本

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第579話 名付けの本

図書室完成!

理想的な見た目にできた! まだ棚はガラガラだし、埋まっているところは全部精霊を名付けたメモ帳を本に直したものだけど。

製本するための机も設置。書きつらねられた名前が、弱い精霊だけならば メモ帳 ( ノート ) が製本までやってくれるのだが、一定以上強い精霊が混ざると俺がやるしかない。

強い精霊の場合、他の精霊と同じメモ帳に書くのを嫌がるのもいて――弱いのの中にも嫌がるのはいるけど、諦めて名前を書く――そのままでは本の形に綴れない。

表紙の方が厚い薄い本を作るのもなんだし、その精霊に関する説明をちょっと書いて、その精霊に関わるシンボル的な絵を本人に描いてもらったり、既製の絵から選んでもらったりしてページ数の水増ししてる。白紙のページもたっぷりとってある。

最近俺が製本したのはエスの神々とセイカイとウフ、そして白い女神。

エスの精霊は同じ本、エスに始まりアサス、わんわん、ネネト、スコス――他の小さな精霊たち。エスが新しいメモ帳に名前を書いた後、エスの精霊たちが名前を連ねた。

先に他のメモ帳に書いたエスの精霊たちの名前も、エスが名前を書いたメモ帳にいつの間にか移動してるし。白紙を多くとるのはこれが理由でもある。

母なる川エスとエスの精霊たち、海神セイカイと海の精霊たちの本、南天を統べる大気の精霊ウフと大気の精霊たちの本。この辺はあれだ、該当の地域にメモ帳を置いたら、まだまだ冊数が増えそう。

本の形にすると精霊ノートが生まれる。名を書き込む精霊が増えても、以降はこの本の担当するノートが綴ってくれる。

そう言うわけでこの部屋、作業机でノートが何人かさっそく作業を始めて、ものすごくシュール。

おかしいな? 理想的な見た目だったはずなんだけど。でもいつも作業をしてくれてるのは感謝している。ちょっと魔力をあげておこう。

本は精霊ノートになる。一冊一冊、それぞれの精霊ノート。でも一つの精霊ノート。――さらにまとまって、棚の精霊のノートとか、この部屋の精霊のノートとか現れないよな?

若干不安だけどあとは任せて、俺は普通の本を読みながらおやつにしよう。チョコレートケーキとオレンジジェラート。

チョコレートケーキは濃厚でしっとり。うん、おいしい。オレンジジェラートもうまくできた、チョコレートケーキを甘めにした代わりに、今回は皮も少し混ぜて少しの苦さをプラスしてある。

コーヒーを飲みながら本を読む。小説系も買ってみたけど、こっちでは図鑑がおすすめ。絵がついてると値段が跳ね上がるんだけどね。

コーヒー豆も作りたいんだけど、どこかにいい土地はないかな?

◇ ◆ ◇

決まった予定は地の民との宴会、次にカーンの国での宴会。差し入れの手配は色々済ませたし、他に保存のきくパウンドケーキも焼いた。そのために粉挽きしたし。

宴会までの間にアミジンの土地の改造を進めておこう。城塞は気持ちよく使えるように、窓を大きく――いや、暑いな? ほどほどにしておこう。

アミジンの土地では何を作ろう。アミジンたちの持分になった内陸側はけっこう寒いけど、俺がもらったところは暑い。冬でも温暖。ただ高原地帯も少しあるんで、そこはちょっと涼しめ。

ブドウ、オリーブあたりかな。飼料用トウモロコシとか作って、牛や豚を飼うのも魅力的。魔物肉の方が美味しいけど、ナルアディード周辺には魔物はいないしね。ナルアディードに入ってくる魔物肉は干し肉が主だ。

他の周辺国の生産物との兼ね合いもあるし、ソレイユに相談してからだな。旱魃の影響がある前は何をたくさん作ってたか確認したいし。

ソレイユはハウロンの依頼も入って大忙しだから、それが落ち着いてからのほうがいいかな?

とりあえずアミジンで作業ができるよう、城塞に部屋を整えよう。作業の人が住み込めるように。城塞以外に、ちゃんと地上に住居を建ててもらわないと。

――猫船長に仕事を回したいし、家具とかは普通にナルアディードで調達したほうがいいね。最近は青の精霊島式の家具が出回り始めたしね。

島では量産の体制を取るのは難しいから、他で真似をした物品が作られ、出回るのは大歓迎だ。

島の家具の劣化品というか、たとえ島の品と並ぶようなできでも、名前が先行してる青の精霊島のものの方が価値が高いんで、競合とはまた違う状態。実際できもいいけどね。

ソレイユの手腕か、完全に「青の精霊島」のブランドを確立してる。普通は先行している商品が強いのに、島の方が後追いで商品を出しても、高値がつく状態。

作るだけ作ってソレイユに丸投げしてる状態のものが多いけど、ソレイユは自分の商人欲を満たしつつも、物を広げるという俺の希望も満たしてくれてる。

ちょっと相反する願いなんじゃないかと思ってたけど、とてもうまくバランスを取ってくれてる。

俺にとって大変ありがたい存在だ。悲鳴をあげつつも、色々売り捌いてくれるし。お礼にまた何か贈ろう。

というか、俺が贈ったものって、大抵商売に利用してるよね、ソレイユ。