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第580話 探し物はなんですか?

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第580話 探し物はなんですか?

アミジンに城塞を整えに行った。

すでに整ってた。

いや、なんというかよく俺のぼんやりした建物像を形にできたな? 確かにハウロンを案内してた時点で、ここはこうでとか考えてはいたけれども! 何でこんなにやる気なんだろう、ここの精霊。

たぶん俺が、持っていっていいと許容してた魔力の量が多かったからじゃないかと反省してるんだけど。俺の魔力もずいぶん増えてるので、精霊に魔力を持っていかれる時に、最低1割は残して! みたいに思ってるとあげすぎになってる気配が。

石の精霊たちは、その魔力で自分がさらに強い精霊になることより、俺の望みを叶える方に余った力を回してくれたのかな、と。そう考えると、誰が悪いって俺なんだよね。

ただ、どのくらいの精霊が俺の元に来たいと思ってくれているのか分からないんで調整は難しい気が。一人ちょっとだけですよ! っていっても精霊の強さとか在りようによって、渡す魔力の量って違うし。かといって1体ずつ確認して渡すのは時間がかかる。

これからも事故りそうなのでなんとかしたいところ。あとでハウロンに相談してみよう。

そういうわけで、予定の空いてしまった俺です。なんか家にすごすご帰るのも嫌なので、このまま出かけよう。

どうしようかな? レッツェが言ってた旅人の石を探してみようかな。

旅人の石と呼ばれるものはいくつかあって、それぞれ別の民族に伝わるものだそう。もういなくなってしまった人たちや、旅をやめてしまった人たちもいて、廃れてしまった旅人の石もあるみたい。

その中で確実にその範囲にいるって教えてもらったのが、タリアと中原を隔てている山脈の、中原側にいるエシャっていう人たち。

この山の中は風景は、黒いような針葉樹と、遠くに見える同じ山系の陰影の濃い山々でできている。この山もそうだけど、半分から上くらいは岩山。

『このあたりに人の集団って暮らしてる?』

『しらな〜い』

『前にいた〜』

『いた気がする〜』

針葉樹の精霊や、小石の精霊、小川の精霊、苔の精霊、山の中の色々な精霊に尋ねながら歩く。

『あっちだったかな〜?』

『うんうんそっちじゃない〜?』

『こっちだよ〜?』

人が暮らすなら、岩だらけな上のほうじゃなくって針葉樹の範囲だと思うけど、その範囲だけでも広いんだよね。なにせシュルムトゥスの南下からカヴィル半島のさらに東まで続いてる山脈だし。

一応、その中でもどの辺かは聞いて来たんだけど、エシャは移動を続けてるはずだからレッツェも正確には分からないって言ってた。

『旅人の石は知らない〜』

『でもこの辺、水晶が採れるよ〜?』

『うん、ここで採れるね〜』

旅人の石は知らないけど水晶なら掘れるって言うんですよ。そう言われたら掘るよね、水晶。

なんかいつの間にか日本の国石が、水晶だったり翡翠だったりしたな〜と思いながら掘って、泥というか白い他の鉱物がこびりついてるのを綺麗にする。

『ご主人、それ小さい』

『だな』

米粒ほどの水晶がなんか他の石にくっついてる。

『ご主人、それはなんか濁ってる』

『うん』

白っぽい? アイボリーっぽい? 透明度は低い。

『ご主人、それ水晶じゃない』

『だな』

周りにあった石でした。

『ご主人、ご主人、それ大きい! 透明!』

『やった!』

手のひら大の水晶を手に入れた! 根本に小さいのもくっついてていい感じの水晶!

『そういうのがいいのね〜?』

『こっちのほうがたくさんあるよ〜』

『ここのは掃除しなくても最初から綺麗なのもでるよ〜』

というわけで、エクス棒でがんっとついて石を崩し、水晶探し。他より少し白い亀裂みたいなとこで掘れるので、そこを崩していく。

『おお! ここあたり! わははははは!』

びっしりあるというわけじゃなく、それがまたエクス棒と俺の心をくすぐって、しばらくエクス棒と水晶掘りで少し遊びました。

エシャ?

ちゃんと見つけたよ? 夕方近かったけど。うん、見つけた。見つけたんで、カヌムに来ました。

「水晶掘りにいったのか、何しにいったのかわからねぇな。肝心の『旅人の石』はもらったのか?」

ハウロン目当てで来たんだけど、留守でレッツェがいた。

場所を教えてくれたお礼を言って、エシャを見つけた話をしてる。水晶を掘った話もついでに。

「もらった」

島の塔のコレクション棚にサンストーンと一緒に飾ろうと思っている。

いや、でも言われている効果がエシャの旅人の石は、「親しい人のところに戻れる」とか、「会いたい人のところに行ける」とかなんで、身につけてたほうがいいのかな?

「報告マメねぇ」

レッツェと話してたらハウロンが帰ってきた。

少しお疲れな感じで居間に入ってきたハウロン、国のお祭りも近いし大忙しなんだろうな。

「レッツェに聞いてた『旅人の石』を見つけたのね?」

座るハウロンにワインを差し出す。

「うん。ついでにエシャって火の国の人の末裔だった」

「ぶぼっ!」

ハウロンが口に含んだワインを噴き出す、華麗じゃないけどそつなく避けるレッツェ。

「ハウロン、汚い!」

「な、な!?」

旅人の石を探しに行って、カーンの国の末裔を見つけてきたんで褒めてください。