第600話 旅人の石
第600話 旅人の石
旅人の石。
レッツェに教えてもらったのは4つ。
猫船長の持っていた、北の大地の民が太陽を探す『サンストーン』。
流浪の民エシャの持っていた、『青い円環』のお守り。
中原の旅人が持つ、旅のお守り『ムーンストーン』。
放浪の民アトラスが身につける、『不透明な水色の石』。
精霊図書館に来ています、で調べて出てきたのがさらに4つ。
エトルの旅人が身につけた、『夜の安全を守る石』。
エスの旅人が身につけていた、『旅人の守護石』。
クリスドラムの船乗りたちが使った、正しき道を指す『 青光石 ( せいこうせき ) 』。
地の民が持つ、精霊の迷い道を進む『標べ石』。
8つのうち『サンストーン』『青い円環』『ムーンストーン』『標べ石』は持っている。
『サンストーン』は猫船長にもらった、北の民が曇りの日の航海で太陽を探す石。今も北では現役で使われている。
エシャと物々交換した『青い円環』は、もう新しく作れないみたいなこと言ってたけど、その石が出る鉱山はわかっていて、旅人の石を作ることにカーンとハウロンが乗り気なので、そのうち出回るはず。
『ムーンストーン』は、普通に店で買った。その名の通り白くけぶるようで、輝きが優しい石だ。買うまでに偽物がいっぱいで何軒か回ったけど――お土産物なのかお守りなのか迷う扱いされてた――無事、綺麗な青が宿るムーンストーンを手に入れた。
そして地の民にもらったナビ石も、やっぱり旅人の石扱い。正式名称は『標べ石』。
レッツェやハウロンに聞く前に、精霊図書館で旅人の石について書かれた本を見つけてしまった。だって『旅人の石コレクション』って題名だったんだもん。
石の時代に書かれた本には、7つの石に対して詳細な説明があった。中原のムーンストーンは新しいらしくって、載ってなかったので7つ。
本を書いた人ジャッジでは、7つの中、1番入手が難しいのは地の民の『標べ石』だそうです。1番先に手に入れてます。
入手難易度は、その本の書かれた時代と場所的にってことだね。書かれた時と場所は、もうなくなっちゃった、石の時代の国らしいから。
場所ははっきりしないんだけど、石の時代ってドラゴンの大陸側の方が栄えてたようなんで、たぶん南の方の国。
石の時代の地の民は本で読む限り、頑固で人前に出ることもごく稀だったみたいだから。物理的な距離もあるし、売りに出すようなものじゃないし、入手は難しかったろうね。
で、手に入れてないのは、放浪の民アトラスの『不透明な水色の石』、エトルの『夜の安全を守る石』、エスの『旅人の守護石』、クリスドラムの『青光石』。
放浪の民アトラスの『不透明な水色の石』は、レッツェとハウロンからアトラス自体の足跡がもう見つからないって聞いた。
でも、レッツェが知ってたってことは、放浪の民アトラスを確認できたのはそう昔でもないはず。石だし、もう誰も使ってなくってもどこかには残ってるんじゃないかな? なので、探すつもりだ。
最後の3つは、本では手に入れやすいものだったみたいなんだけど、こっちの方が探す難易度高そう。
エスの『旅人の守護石』、レッツェ知らなかったし、そこはかとなく今の時代は途絶えている気がする。
石の時代の著者は1番手に入りやすい石って書いてるけどね! 著者の国で割とメジャーに売ってたっぽいから、俺のムーンストーン状態だろうな、きっと。あのお守りなのか、お土産物なのか微妙なラインの……。
で、クリスドラムとエトルってどこ?
俺が向かったのは、図書館の中央の通路に置かれてる館内案内の本。広い建物の中に書架が所狭しと並んでいるが、この中央通路は広々している。天井の高さと相まって、開放感のある場所。
その通路に台が置かれ、大きな本が一冊鎮座している。
えーと、記述的には「内海を越えた先に住み着いた」だから、ドラゴンの大陸からみたら今のマリナとかあのへん? タリア半島とか。
「マリナとタリア半島の周辺の土地を支配した国々関連の本はどこだ? できれば時代ごとの国名が簡単にわかるやつ」
本に向かってそう話しかけると、勝手に表紙が開いてページがぱらぱらとめくれる。
止まったページからにょきっと精霊が上半身を出し、こちらを見てくる。ページに綴られた内容は、『マリナ半島とタリア半島の国々の変遷』。
よし、良さそうだな。
内容が良さそうならば、ページに生えている精霊を引っこ抜く。引っこ抜くと、ページに書かれていた本のある場所に先導してくれるのだ。
これも検索っていうのかな?
本を借りて、調べることしばし。エトルは石の時代にタリア半島の海辺に住んでた民だってことが判明。これは後で現地を回って、古いものが残ってないか探そう。
クリスドラムは今現在『滅びの国』と呼ばれている。西にあるあのレイスみたいな物理が効かない系統の魔物しか出ないところ。
石どころか人がいません!