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第667話 アーモンドの花

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第667話 アーモンドの花

事件その2からその7は精霊の悪戯だったので注意して終了。精霊に注意もあれば、言葉が通じないタイプの精霊が起こしてたやつは、周囲の人に精霊の仕業を周知して、注意した。

精霊はだいたい特定の条件が変わると興味失うことが多いし、他にもっと性質的に興味もちそうなものを用意すれば、あっさりそっちに移るしね。

事件その8。

まだ盛りのはずなのに、気がつくと『精霊の枝』の庭園内に咲く花が、萼ごと落ちてる。人の出入りした気配もない。

一応この国にも『精霊の枝』はある。あるというか造った。

砂に埋もれる前から『 王の枝 ( シャヒラ ) 』が王宮にいたんで『精霊の枝』を安置する『 精霊の枝 ( こうぞうぶつ ) 』はなかった。

王宮の奥深く、大事にしまわれた『王の枝』は特別な儀式などでしか見ることが叶わない。

あれです、『 王の枝 ( カーン ) 』を見る機会はどっさりあるんだけどね!

それはともかくとして、最近――カーンの時代よりは人の移動というか観光旅行があるので、王都にも観光地として『精霊の枝』を造る国が増えた。王宮に不特定多数は流石に入れられないからね。

神殿もある。普通は住民も出入りできるんだけど、エスの神々が本当にいたりするという諸事情で気軽に出入りはさせられないという罠が。

そういうわけで土地はあるんで気軽に出入りできる憩いの場として『精霊の枝』を造っておきました。人が移り住む前にわんわんに小さな嵐を起こしてもらって、砂を吹き飛ばして風化してない大地にどんっと。

ここは暑いから周囲に分厚くて高い石の壁を巡らせて日陰を作ってる。二階建てのぶち抜きの建物の屋根無しみたいな何かです。

ハウロンはなんか膝をついてたけど、カーンは視線を逸らしただけだった。周辺の精霊の動きはカーンにもわかるみたいで、俺が何かやってるというのは分かってたみたい?

その『精霊の枝』で調査開始、まずは該当の花の特定から。書類によると入って右奥の木らしい。

ここの植物は俺の山から持ってきたのと、『青の精霊島』でチャールズが丹精した青い薔薇。

俺的に珍しい青い薔薇は、シャヒラが触れたら黒薔薇と白薔薇になりました。黒い薔薇も珍しいよね……。こっちの世界では普通にある色だけど。

特筆すべきはは大きさと花弁の多さ。俺的には普通の薔薇なんだけど、こっちはほとんどが品種改良前で野薔薇みたいなのがデフォなので。

価値観の相違がね! だいぶ慣れてきたけど。

それはともかくとして、該当の花はアーモンドかな? 桜にとてもよく似ている。近くで見ると 花柄 ( かへい ) っていう、枝から花までの茎っぽいのが違うんだけど。

日差しを遮るように木を植えているので、視界も遮られ気味なんで近づかないと記述通りかわからないけど、花の特徴はアーモンド。

木陰と、水の流れと、砂を含まない涼風。いつもは人気の『精霊の枝』だけど、花を落とす犯人を特定できるまで、関係者以外出入り禁止になってる。

貸切状態の『精霊の枝』を歩く。

「エクス棒、聞いていい?」

「なんだ? ご主人」

調査の相棒はエクス棒。

「そういえばなんだけど、『王の枝』の効果範囲ってどのくらいあるんだ?」

「従えた精霊をカウントしないなら、そう広くはないぜ? だから枝わけして効果範囲を増やすんだ」

「なるほど」

それで『精霊の枝』が都市ごとになんだな?

『王の枝』は王と共にあって、『王の枝』が伸ばした『精霊の枝』は地方の民と共にあるみたいな。

「おっと、あれだ」

やっぱりアーモンドで正しかったらしく、木の下に花が萼ごとたくさん落ちてる。アーモンドも花びらが散って花吹雪になるんだけど、ぼっとりといってる。

「さて、聴き込みしようか」

「あいあいさー!」

というわけで、花の中で遊んでいる二匹の精霊に聴き込み。

『こんにちは、この花を落とす犯人知らない?』

『イエスズメ〜』

『イエス、ズメ〜』

『花の蜜おいしいんだって』

『花のみっつおいしい、んだって』

いきなり犯人特定! 精霊関係ないし!!!!! そういえば、日本でも桜の花の蜜を吸うために花を落としてしまうスズメのニュースみたことあるな!!!

こう、精霊が続いたから予想外だったな。これもハウロンに説明して終了案件。

さて、この辺にしてハウロンのバカンスの用意をしよう。やっぱりエス川の辺りでハンモックだろうか。