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第720話 職人の邪魔

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第720話 職人の邪魔

「あと、また黒山で杉もらったのあるけど、いる?」

黒山ちゃんに拠点を作ってる話しをしたら、またもらってしまった。見えるところに使わせてもらおうとは思ってるけど、どう考えても多すぎた。

それに、俺より『地の民』の方が断然素材を活かした、いいものを作るだろうし。

「なんと! 女神の座す湖の巨木に次いで珍しい!」

「あの黒山が、また木々を引き倒すことを許したのか!」

「あの黒山が、また木々を持ち出すことを許したのか!」

「風の時代にあれだけの拒絶を見せた、あの黒山が!」

「あの黒山が!」

「あの黒山が!」

「あの黒山が!」

ざわざわと作業所にいた全員が口にしてゆく。

以前にも黒松をもらってきて、土偶ちゃんと『地の民』にあげたことがあるんだけど、2度目のほうが驚かれてる。

「で、ちょっと話を聞きたいんだけど、ドラゴンの炉のある場所って、以前『腕長』の誰かが通ったことある? 十年前後前だと思うけど」

「ある」

「ある」

「ある」

「ある」

「ある」

「ある」

「ある」

「ある」

短い答え。

他を追う形ではなく、一人一人が答えている。今までの心を持ち上げるような雰囲気が消える。

これは、ドラゴンの炉のある場所って、俺が思ってたより『地の民』にとって神聖不可侵っぽい。

「よりによって何か冷たいモノを持ち込んだ」

「よりによって何か冷たいモノを抱いていた」

「よりによって氷を持ち込んだ!」

「炉の温度が変化する」

「炉の温度が下がる」

「炉の温度が微かに下がる」

「温度管理が」

「厳密な温度管理が」

「狂う!」

「狂う!」

「狂う!」

腹を立てている様子の『地の民』。

神聖というか、どこまでも作り手だった。人が持ち運べるような大きさの氷でそんなに温度変わる? ドラゴンの炉、でかいし熱いよ! 灼熱だよ?

いやでも、冷気を嫌う精霊が臍曲げたりしたら、溶けるべきものが溶けないとかあるんだろうな。何溶かしてるかわからないし。

「ここ数日、ドラゴンの炉を使う予定ある?」

「ソレイユに与えられた宝を」

「ソレイユに与えられたドラゴンの鱗を」

「熱している」

「熱している」

「熱している」

「三日三晩」

「少し溶けたぞ」

「七日七晩」

「もう直ぐ叩ける」

「もう直ぐ叩いて延ばせる」

「もう直ぐ剣に鍛えられる」

「もう直ぐ!」

「もう直ぐ!」

「明日には!」

「明日には!」

嬉しそうなざわめきが続く。

どうやら明日にはドラゴンの炉の使用が一旦終わる様子。

「近いうち、おそらく3日後くらいに、氷を抱えた2人が侵入してくる。訳あって、俺も姿を隠してその2人についてくる予定なんだけど、侵入者に対する普通の対処で構わない。俺の姿は見えないだろうし。――炉を使う予定なら、日をずらすよう持っていこうか?」

と、こんな感じで談合。

幸いドラゴンの鱗は一度溶け出すと、しばらく柔らかいままで新たに熱する必要はないとのこと。明後日以降なら炉は空いてるって。

ただ、また侵入してくると面倒なので見つけた暁には徹底的にやるとのこと。

まあ、そこはしょうがないね。解呪方法的にもなあなあにならない方がいいようだし。バインボインたち以降の世代にまで責任持てないし。

黒山ちゃんと『地の民』たちとの相談を終えて帰宅!

これで準備完了!

いや、黒山潜入の自分の装備整える。

いつもと違うのは氷を運ぶ用の袋とか、足音を消すための布とか。あとは寒さ対策、これらはもう詰めてある。

重いものは下に、軽いものは上に。

形のあるものは先に、不定形なものは後に。

布類はどっちも上のほうに詰めるだけだったしね。

えーと、防寒着よし、リュックよし、終了。――リュックの中身、一応確認するか。

リュックはいつでも持ち出せるよう、色々詰めてある。同じものが山の中の家とカヌムの家に置いてある。

日本の災害時持ち出し用備蓄みたいなヤツなんだけど、冒険者って急に呼ばれたり、依頼によっては誰かに急襲されたりするから、最低限をすぐ持ち出せるようにね。

なんのことはない、ディノッソやレッツェのマネなんだけど。

リュックの中身は火おこし用の道具と燃料、調理道具、非常食――干し肉、干し魚、ナッツ、ドライフルーツ、カンパンみたいなクッキー、キューブ状にした野菜スープの素、各種調味料など。

ロープに手袋、袋が数枚、大トカゲのシート2枚、裁縫道具、カンテラ、ナイフ、弦と別々にした小弓、虫除け、包帯、傷薬、消毒薬兼ねて強い酒の入った小瓶など、金ももちろん。

燃える物 ( まき ) は黒山には針葉樹も生えてるし、大丈夫かな。

薪に油が多いと煙がもくもくして暖炉とかでは困るけど、外なら煙は虫除けにもなるしね。

ああ、軽いテントとカラビナ作りたかったんだっけ。あんまりやりすぎると、怪しさ全開で……いや、大賢者の免罪符があるし、大丈夫かな?

あとでハウロンに作ったもの色々渡しておけば問題ないよね? まあ、時間がないから次回だけど。

この黒山詣でが終わったら、保存食系の入れ替えをしよう。

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※リュックの荷物はたくさん入るように、負荷を軽くする山歩きなどは別なので気をつけて! レッツェに呆れられるぞ。後で何か補足的なエピソードを入れますね※

3/10 新しいゲーム始めました。11巻発売しました!

見かけましたらよろしくお願いいたします

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