第728話 再びお邪魔
第728話 再びお邪魔
で、ごろごろした翌日。
今日は【収納】の中に食料を備蓄するための料理! ないとドキドキするからね。
まずは【食糧庫】に行って、そのまま食べられる果物類を補充。生ハム、チーズ、酒――野菜や魚、減ってた食材もついでに補充。
料理の方は、メール小麦、『青の精霊島』とカーンの国で採れた物でできる物。あと、城塞都市の肉でできる物をはじめに。
たくさん焼く予定だし、パンは水車小屋で作ろう。あそこにあるパン焼き窯が一番大きいから。
バゲット、バタール、パリジャン、ブール、クッペ。
たくさん作るみたいだろう? 全部同じ生地だ!
バゲットは細長くて、クラスト――外側の硬くて焼き色がついた部分のこと。ちなみにクラムは中身の白いとこ――が多いんで、火通りがよく、バリバリで香ばしく、かつほのかに甘い香りに仕上がる。
バタールはバゲットより短くて、中身が多くなるんでちょっともちっとする。
パリジャンは太くて長い、でっかいの。
ブールは丸い、クッペはラグビーボールみたいなの。
切ってそのまま食べるし、ブルスケッタにしたりするんでたくさん焼く。なお、発酵工程は精霊に任せます。
形を整えておくと、精霊たちがつんつん突いて、ぷっくり膨れる。風船みたいにあっという間に膨れるんで、見ていて楽しい。
カーンもいるし、チェンジリングもいるしで、料理の精霊の手伝いはずっと前から解禁してます。みんな同じように味がした方がいいもんね。
全粒粉の香りのいいパンも焼きたいし、食パンももちろん欲しい。数日はパンを焼こう。
で、窯の精霊にパンを任せている間、家に戻って今度はスープ作り。暖炉にかけるスープ壺に材料を入れて、とりあえず長時間煮るわけですよ。
ポトフとミネストローネは野菜を満遍なく摂るためにとりあえず作るとして、暖炉に入れられるスープ壺はあと2つ。
舞茸のポタージュとカボチャのポタージュにしよう。色々作りたいから作業が省けるやつ、火にかける時間は長いけど、暖炉任せだし。
で、分厚い肉と野菜をオーブンに突っ込んで、さらにステーキを焼く横でパスタを茹でる。
パスタはそのまま食べられないんで、料理前のものは【収納】にまだたくさんある。宴会用に放出したのは直ぐに食べられるものだからね。
お気に入りの手長海老のパスタ作ろう、手長海老。平打ち生パスタをゴルゴンゾーラチーズに絡めただけのものもいい。
あ、ソフトクリーム作ろうソフトクリーム。まだ足湯作ってないけど、アイスクリームとアイスコーヒーも。
家にこもって楽しく料理。
非常食も作って入れ替えないと。
足湯の準備が先かな、拠点見せる約束はしてあるし、ハウロンの手が空く時似合わせなきゃだし。
ごろごろして、料理して、リシュと遊んで。ひとりの時間も嫌いじゃない俺です。
のんびりしフレッシュしたところで、金塊を貰いにゆく。
また交易してるところの端っこで待ち合わせ。俺が舟持てないから家に行けない、ってことで。
貸し舟屋とかもあるけど、どこも『腕長』の集落には行きたがらないし、そこに行くなら舟そのものの値段を払えと言われる。
同胞なら舟を持っていないのはおかしくて、知り合いなら迎えにこないのはおかしい。他人が入り込んだら殺されても文句は言えない場所、って認識のようだ。
ちょっと俺が思ってたより危険な場所多すぎない?
交易の町(ここ)が例外的にフレンドリーというか、不戦のルールがあるだけで、外がテリトリー意識厳しい件。
「賢者ジーン、迎えにきた」
人の流れを眺めていると、『銀狐のバインズ』が近づいてきた。
「ありがとう。――まだ弟子だよ?」
「我らにとっては貴方が賢者だ」
大きく片方の足をダンっとして、胸に拳を置き言う『銀狐のバインズ』。
いつの間にか大賢者の弟子から、賢者に昇格したようだ。まだ独り立ちする気はないぞ!
「報酬は今ここで渡すこともできるが、もてなしの準備をしている。家に来てくれるだろうか?」
ってことで、再びお宅にお邪魔してます。
「賢者ジーン、感謝します」
玄関側で妹さんが出迎えてくれ、足をダンってしてます。
「俺は後からついてっただけだし、お兄さん2人に感謝して」
ずっと走りっぱなしだったけど、それしかしてない。
ゆっくり首を振って、涙目で見つめてくる妹さん。どうしていいかわからないから、曖昧に微笑んで家の中に入るよ! アルカイックスマイル発動!