第733話 お裾分け
第733話 お裾分け
山の家やカヌム、島の塔、森の家に置く保存可能な食料を入れ替え中。
豚の精製油 ( ラード ) 、豚の背脂の塩漬け、クルミ油、麻の実の油、バターを各家に一壺づつ。いや、カヌムは3壺。穀類、豆類、干し肉、干し魚少々。
――酒はそのままでいいかな。こっちの世界のワイン、すぐ酸っぱくなっちゃうけど、俺が作った酒はちゃんと消毒したし、栓もしてるので大丈夫なはず。……保険で【鑑定】したし、大丈夫!
小麦は数年寝かせて乾燥させた方がいいのでそのまま。お米は【食糧庫】のものなので消える可能性があるけど、一応交換。
ドライトマトとかの干し野菜、瓶詰めの野菜系も交換。ジャムの類も交換。果物のシロップ漬けも交換。
――選別面倒なんで、この辺全部交換! 【収納】に入れておく分の料理もまだ作らなくちゃだし、そっちに使う方向で新しいものと入れ替える。
流石に一度にはできないので、ここ数日頑張ってる。クリスの故郷に作った家は、ただいま色々風を通して乾燥中?
集まってきた精霊が馴染むのを待ってるというのが実情。俺がいると精霊たちが張り切っちゃって、意図しない家になりそうなんで、落ち着くの待ちだ。
自分の居心地のいい場所を見つけてくれたら、そこは大きく変えようとしなくなるので、明後日の方角にぶっとんだトンデモハウスにはなりにくくなる。なので、気長に待ってる。
スープはさらに何種類か作ったし、パンもさらに種類を増やした。そのまま保存続行のものも、異常がないか点検はしたし、バルサミコの樽もついでに入れ替えたし。
各家の点検と掃除もOK、庭周りの花木の手入れもOK。この辺は普段からしてるし、精霊も手を貸してくれているので、そう時間はかからない。普段見落としがちなところを点検した感じだね。
うん、見落としていた精霊のやらかしをいくつか発見したけど、見なかったふりだ。
色々終えて、今度はお裾分けにあちこち回る。普通は保存した端から食べて、無くなるころにようやく待ち侘びた秋の恵みの時期が訪れ、実が落ちて腐るまでの短い期間に新たに保存食を作るとかなんだけど、俺は一人分の割にたくさん作るんで消費が間に合わない。
「今、保存食の入れ替えしてて、古いので悪いけど、よかったらもらってくれないか?」
「もちろんいただきます」
にこやかな執事。
「……精霊の効果は『なし』でよろしいですかな?」
「……効果が大きいのは、シヴァのところに持ち込む予定だから」
にこやかなまま確認してくる執事に応える。
「……」
「……」
なしとは言えない、ちょっとはある。お互い無言で笑い合うのはそう言うことです。
「――アッシュ様は、お肌のお手入れなど気にされずに森に行かれますからな」
小さなため息混じりに品々を受け取る執事。
ついでに執事のお肌もスベスベになるといいよ!
次はディノッソ家。
アッシュと執事には甘いものを中心に、果物のシロップ漬けやジャムの瓶。ディノッソ家には満遍なく。
「ありがとう。ジーンのシロップ漬けは美味しい上に美容にいいしで大歓迎よ」
にこやかなシヴァ。
シヴァのにこやかさは本当に喜んでる顔。
「おい、また美尻になったり、脱毛というか髪以外の体毛が細くなったりするんじゃないだろうな?」
隣で家長が嫌そうな顔してるけど。
こっちの貴族以外の男の外見の価値観、野生み溢れる方向が大半だもんね。
「干し魚とか干し肉には、筋肉つきやすくなる効果がついてるよ! 個人の好みに合わせて選んでくれ」
疑わしそうなディノッソを横目に、シヴァに品物を渡す。
料理はシヴァがするから、ディノッソの好みというより、シヴァの好みで選択だろうな。たぶんディノッソの外見はあんまり変わらないと思う、「変わらない」程度にお肌とか管理されるという意味で。
――人の往来があまりない場所で農業をやっていた期間があるせいか、シヴァも割と保存食を作っていて、俺の知らないものをいくつか教えてもらった。
借家のレッツェたちには、干し魚、干し肉、ドライフルーツ、お湯を入れるだけの野菜スープのキューブ――探索に持っていけて、いざとなったらそのまま食えるものを中心に。
ハウロンのところには留守宅にたくさん置いてきた!
「我が君、お手伝いを」
島の塔ではアウロが待ち構えてました。