LNCrawler

第746話 宥めるには地道な繰り返し

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第746話 宥めるには地道な繰り返し

竜巻の精霊や、気流の精霊、大雨の精霊、雹の精霊、荒波の精霊、渦の精霊、雷の精霊――ヒャッハーみたいな性格の精霊が、入れ替わり立ち替わりくっついたり離れたり。

雷の走る竜巻が追ってきたりするけど、一番なんとかしなくてはいけないのはウフ協賛、セイカイと風の精霊のコラボ、嵐の精霊君1号。

なんか100号くらいまでいそうだけど、1号が一番大きい。

コイツは周囲の精霊たちを巻き込んでどんどん巨大化して、風を強め、黒い雲を生み出し、海水を巻き上げ、雷を撒き散らす。巻き込まれると、俺ごと吹っ飛ばされそうなんで頑張って距離を取る。

あ、他の嵐の精霊とも合体した。

大きくなってってるんで、逃げ場が狭くなる……! 暴風域も広がって、呼応してるセイカイの眷属たちが動き回っている。

『 霰 ( あられ ) の精霊さんこんにちは! 僕は君とごっつんこ!』

『ちっちゃな氷の精霊さんこんにちは! 僕は君とごっつんこ!』

『こまかいの』がようやく簡単な意思を持ち始めたような精霊が、大量発生して、そして同じ行動を起こしている。

伝わってくるのは可愛らしい感じなんだけど、結果が雷なんですけど……っ! 集まって雷雲の精霊にどんどん変わってっている。

『ヒャッホー! タッノッシィー!!!』

『マワル! マワル! マワレ!』

『ザッパーン! ドコマデ タカク アガルカナ!!!』

『シラナミ! クダケル! マタ タカク!』

『たーすけてぇ〜! 止まれないぃ〜! 早すぎるぅ〜〜〜!!!』

『ミズヲトバセ! カミナリヲフリマケ! アメ! アラレ!』

『ヒョウモ!』

『ゼンブ ゼンブ フットバセ!』

『タマノゼンリョク! タメコンダモノ ゼンブ ゼンブ! ダス!!』

――なんかこう、途中違う種類の叫びが聞こえたような? 確かめる余裕ないけど。この嵐に参加してる精霊の中にも巻き込まれ精霊っているんだな。巻き込まれたら、やたらやる気の精霊に変質するか、違う精霊に変化するもんだとばかり思ってたんだけど。

『分解! 分解! 乖離! そっちは固定! それでそのまま協力お願い!』

『ウフ』

ウフが眷属たちに力を流し込む。全体のパワーアップやめてください!

『ふぉおおおお!!!』

ふぉおおおおおじゃない! セイカイ、内海全体揺らすな!!!

短い距離の【転移】を繰り返し、陸からは距離を取り――ちょっと! そっちは違うだろ! 俺を追いかけろ!!

『ご主人、あっちにも生まれた気配がするぜ!』

エクス棒が指す方向に【転移】。

時々集中力が続かない精霊なのか、生まれたてで本能の方が強いのか、俺ではなく陸に向かおうとする竜巻や大波を引き戻しに行く。

俺が近づくと、俺を追ってきたウフやセイカイもそれらに接近する。近づいた上位の精霊に眷属たちが同調するのか、離れていたそれらも俺を追うようになる。

真ん中なるべくキープの一番大きな嵐の精霊が、陸から離して連れてきた精霊たちを取り込んで、さらに大きくなるんだけどね! ゲームの難易度がどんどん高くなる。

膜を作ってくれてる大気の精霊が時々剥がされて穴が開く。元々ウフの眷属だからね、ずっとウフの力に晒されてるとウフの意思に引っ張られちゃうようだ。

寝袋を俺から奪い取る側に変わるってこと。大きな精霊じゃないけど、すごく近くにいる状態だし、大気の膜に穴が開くのは痛い。すぐさま魔力と俺の意思をぶつけて、味方に戻ってもらうんだけど。

寝袋は念の為撥水含めて色々強化してるんだけど、自分の服が雨だか海水だかに濡れて重い……っ! この服はカヌムでも着てるし、ちょっと丈夫だけど普通の服なんですよ! 保護やら強化忘れてた!

『分離して、ぼうっとしてるところなら味方になってくれないかな?』

青トカゲ君が言う。

分離することを基本として、味方になってくれそうな、ウフやセイカイと 縁 ( えにし ) が薄そうな精霊、生まれたて、俺が分離したてで、「そこにあるだけ」――まだ積極的に行動するほど意思がはっきりしてない精霊を、俺の方に取り込んでゆく。

先に勧誘した方が勝ち!

逃げ回りながら明後日の方向にゆく嵐の精霊を嵐の精霊1号の元へ連れてゆき――1号の元に連れて行ってるんじゃなくって、陸から離してるだけなんだけど、一番でかい1号を中央付近に固定するように逃げ回ってるんで、結果1号に他の嵐の精霊を取り込ませて強化してるっていう……。

分離と勧誘を繰り返して、勢力を削ぐこともしてるけど。熱の精霊を熱いから冷たいに反転させて、海水の温度を下げたりね。

『ご主人、朝日が昇る!』

『油断しないで、嵐の精霊が……!』

ああ、もう少し。もう少し!

『目が回るぅううう〜〜』

嵐の精霊1号に振り回されてる結構大きな精霊。なんだろう、がっつり嵐の精霊に取り込まれてるんで、他の精霊が入れ替わり立ち替わり間を横切るんで、イマイチなんの精霊か判別つかないや。風系の精霊っぽいけど、強風の精霊とか?

なんでもいいけど、頑張れば嵐の精霊から引き剥がせそうだ。

『青トカゲ君、ちょっと寝袋お願い!』

『うん!』

『エクス棒、行くぞ!』

『おう!』

寝袋が飛ばされそうで危ないけど、ぎゅっと掴んで嵐の精霊1号に突っ込む。

『こっちに来い! 俺の味方になれ!』

言葉に力を乗せて、エクス棒を向ける。

来い! 俺の勝ちだ!