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第757話 小麦粉の何か

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第757話 小麦粉の何か

「それで相談なんだけども、いいか?」

ここには相談に来たんですよ、尋問じゃないです。

「ジーンの相談って幅が広いのよね……」

「日常から世界の平和まで!」

ハウロンの言葉に続いてディーン言って笑う。

「さっきまでの中原の話よりは気楽でございましょう」

執事が微笑む。

「相談の前にとりあえず飯は?」

尋問始まっちゃったんで聞けなかったけど、まだだよね?

「頼む!」

即答のディーン。

「そろそろアッシュ様とクリス様が戻られます。自分はアッシュ様を迎えに、一旦家に戻らせていただきます」

人数が増えることを言い添える執事。

「一緒? 珍しい組み合わせだ」

「アッシュがちょい面倒な貴族んとこに依頼の報告、クリスは付き添いだ」

「依頼を受ける時、ノートと自分のとこの使用人と比べ始めて絡まれたらしいな」

ディーンとレッツェが説明しながら、執事を見る。

「……」

困ったような顔の執事。

「なるほど」

多分報告もついてゆくつもりだったのに、アッシュに止められたんだろうなこれ。

「都合が合えばバルモアも呼んでくれないかしら? さっきの中原の話、共有しておきたいわ」

ハウロンが物憂げに言い、執事が承知したというように会釈する。

隣の家に帰る執事を見送り、久しぶりに借家の台所で料理だ。さて何を作ろう? カーンがいるからパンとワインはいる。ステーキにして、スープと付け合わせで野菜を詰め込もう。

じゃがいもはフライドポテトかマッシュポテト――マッシュポテトにして、揚げ物はエビフライかカニクリームコロッケをつけようか。両方でいいか、みんなよく食べるし。

あ、コロッケ回収したやつ結局そのままだ。【収納】に入れると忘れてしまいそうだ。――実際に今まで忘れてたし。せっかく【収納】の整理したのに、危ない。

じゃがいもと牛乳、生クリームで作るプレーンなマッシュポテト。舌触りがいいマッシュポテトを四角く整形して、表面を軽く焼く。ケールと豆のサラダ、焼いたトマト。キノコのガーリックバターソテー。

精霊たちが跳ねる油で遊んでいるのを見て、衣をつけたエビをじゅわっと。適温、適温。

スープはかぼちゃのポタージュ、これは【収納】から出して、彩りにパセリ振っただけ。パンも籠に出す。

出した上で一旦【収納】。

――アッシュたちが帰ってきた気配がするので、肉を焼き始める。4センチ以上! こっちだと分厚く焼いてレアが好まれる。

レッツェは店で食べる時は、よく焼いた方が好きというか、なんか食あたりに警戒してる気配があるんだけど。まあ、カヌムは焼くより茹でる方が主流なんだけど、そっちも豪快な肉の塊だ。

薄く切るのはハムくらいだね! あれは薄く切って、たっぷり載せる。

「お待たせ」

「ジーン、ただいま」

「ただいま!」

「おかえり」

アッシュとクリスにおかえりの挨拶をしながら、机に料理を並べる。

「ディノッソ、飯は?」

「食ってきた。けど、ちょっとくれ」

「はい、はい」

肉を半分ディーンの皿に移そう。

「うを! 肉、肉! ジーンの肉、美味いんだよな!」

ディーンが料理を見て落ち着かなくなる。

カヌムは周辺で魔物を狩ってその肉を主食に、あとは森の恵み。なので肉については色々種類があるんだけど、和牛の赤身がディーンにクリティカル。そしてこの中で一番食べる。

「言い方! それじゃ俺の肉みたいだろ!」

「そこはジーン様の料理、にしておくべきでございますね」

執事が言う。

「ワインは赤でいいよね?」

「もっちろん!」

「もちろんだとも!」

ディーンとクリス。

「ああ」

一拍遅れてカーン。

暖炉のそばにいたカーンがテーブルにつき、食事が始まる。肉の火加減は精霊にお願いしたんで、中まで完璧!

カーンもいるし、精霊のお手伝い――という名の遊びは止めなかったので、精霊島で作った料理並みに影響が出てる。多分筋肉の成長量がしばらく割増になるけど、気のせいです。

「はあ、肉美味い」

肉しか言わないディーン。

「付け合わせのこちらは『じゃがいも』ですね?」

素材を確認する執事。

「『じゃがいも』聞く限り保存によさそうだけれど、砂漠でも育つかしら?」

「多分育つと思うよ。砂地も向いてるんじゃないかな?」

気候的には北海道のイメージが強いから涼しいほうが向いてるんじゃないかと思うんだけど、品種によるはず。

「人が足りん。今はあまり広げるな、あるものを軌道に乗せるところからだ」

カーンが言う。

そういえば今でも無茶苦茶忙しいんだった。過労死フラグを自ら建築していくスタイルのハウロン!

「で? 相談てのは?」

レッツェがワインを飲みながら聞いてくる。

「ああ。マリナに小麦を使った商品を広めたいんだけど、何か向いてるものあるかなって。総菜パンとかケーキとか考えたんだけど、あとはうどんとかパスタ」

我ながら発想が貧弱だ。

「うどん……?」

「今度料理出すよ。――ああ、出汁がないし、うどんは不向きか」

釜玉はダメだろうし。