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第768話 現場のナルアディード

転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。 — kakuyomu.jp · All chapters

第768話 現場のナルアディード

ディノッソに予定を伝えて、次はハウロンの元へ。

そしてここでも朝食中。

早すぎては睡眠の邪魔しちゃうし、遅すぎると執務始めちゃうしで、狙える時間が朝食の時間なんですよ、ごめん。

それはそうと、ハウロンは米と春雨みたいな麺、鶏肉を繊維状に崩して混ぜたようなのを食べてた。

それはなんですか?

俺の知らない飯ですよね?

どんな味ですか?

美味しいんですか?

「……ちょっと分けてあげるから、凝視しないで」

「ごめんごめん、ディノッソのとこでもシヴァの手料理よばれてきたし、お腹は減ってないんだ。ただ、ちょっと初めて見る料理で気になって」

朝食2回食べちゃたしね!

「シヴァの……。料理を食べて立っている人間がいるなんて……。本当に料理ができるようになったのね……。いまだに信じられない……。バルモアはもう、毒消しや回復薬を飛び越えて万能薬が必要になることも、そのためにダンジョンの奥へ素材を採りに行くこともないのね。最初はバルモアがさらに 丈夫 ( ・・ ) になったのかと……」

目頭を押さえて俯くハウロン。

「おい! どんな料理だ!?」

シヴァが過去に作った料理が破壊兵器みたいな気配。

「……」

目をそらすハウロン。

回復薬やら万能薬やら……ディノッソ、それでも頑張って食べてたのか。今が料理上手ってことは、シヴァもディノッソに応えるために、頑張ったんだろう。

とりあえずハウロンのご飯はほんのり辛く、スパイシーで美味しかったです。

◇ ◆ ◇

離れたところに住む面々の調整を請け負って数日。

ようやくナルアディードにマリナの国王到着。だいたい予定通りといえば予定通り、こっちの旅は自然現象に左右されまくるし、街道の宿の都合もあってズレるときズレる。

日本の参勤交代、川止め――増水して川が渡れなくて、いつもと別な宿場に泊まったら、泊まらなかった宿場に損害賠償請求されたとか、江戸市中は他の参勤交代とかち合わないよう分刻みだったとか聞くけど。

こっちはおおらかなんですよ。

「わあ、すごい!」

ティナが宿の窓からナルアディードの街を見て歓声をあげる。

『青の精霊島』御一行様に割り当てられたナルアディードの宿屋、泊まったのはディノッソ家だけで、ソレイユたちは『青の精霊島』から朝早くに移動してきた。

俺はディノッソ家を送り届けたあと、山の家に帰り、リシュの散歩をしてハウロン迎えに行って、さっきまた来たところ。

ディノッソたちは家族水入らずでナルアディードの観光と、宿屋での一夜を過ごしたことになる。

無事家族サービスになったろうか?

この場合、ディノッソにも楽しんでもらえてたらいいけど、家族大好きお父さんだから大丈夫だろう。

王様を迎えるナルアディードは、国の紋章をあしらった布をあちこちに垂らし、花々で路を飾っていて、いつもとは違う雰囲気。

昨日まで準備で、あちこちに梯子がかかったりして騒然としていたが、そういったものが取り払われて、綺麗なところだけ残っている。

ちなみに『青の精霊島』の町や建物は、最初から垂れ幕などを設置する場所が決まっていて、梯子をかけたり釘打ちしなくても垂らせるし、掲げられる。

城と『精霊の枝』周辺はそもそもずっと布がかかっているし――ああ、祝祭日つくっとくか。あとでソレイユに相談しよう。

マリナの王様は、ソレイユとの商談もあるけど、高波見舞い的側面も持たせていて、追ってこれから物資も届く予定なんだって。

王様が支援物資の目録持ってきた感じになるのかな? で、実際の物資は末の王子が持ってきて、そのままソレイユと実務的な相談に入る。

ちなみに今日ナルアディードを飾る花は、うちの島からもソレイユが贈った。ナルアディード含む、人の住む島への支援物資の目録付きで。

『青の精霊島』も元々は漁師たちの住む寒村、内海にはマリナやタリアに属する島がいくつもあって、その中には人の住む島も当然ある。

マリナの王様に花を持たせつつ、運搬その他面倒な調整を丸投げしたとも言う。商業ギルドも海運ギルドもあるし、その下につく人々に割り振って、うまくやってくれるはず。

「被害にあったとは思えないほどね」

別の窓から通りを眺めてハウロン。

この部屋は応接室なのかな? 中央にローテーブルとソファ、窓辺にもソファとティーテーブル、壁際にカードゲーム用のテーブル、バーカウンターみたいな広い部屋。

『青の精霊島』から従業員さんと警備さんが何人か来てるし、大きくはないけどそれなりに格式のある宿屋を貸し切ってる。代金は今回のホストを務めてる、ナルアディードの商業ギルド持ちだ。

ソレイユたちも来てるけど、別の部屋でお着替え中だったり、手順の確認中。アウロは島に残り、キールが付いてきてた。もちろんファラミアも。

なので今この部屋にいるのはディノッソ一家とハウロンと俺。

「被害は運河沿いだから。本当に酷いところは隠れてるね」

ここやマリナの国王が通る場所、滞在する場所から見える範囲は綺麗に片付けられ、花が飾られている。

王様が船を降りた近くに、「綺麗に整えられた被害を受けた場所」はあるけど。

たぶんその辺で立ち止まって住民になんか言うんだろうね。周辺の島のひとも集まってるし。王様の歩く場所は綺麗だよ!

まあ、怪我されても困るんだろうけど。