第五百六十七話 随伴船
第五百六十七話 随伴船
明日のお昼ごろ、ツイッターで個人的に告知があるので見てみてくださいm(__)m
キューバーについていくと、停泊している船のところにたどり着いた。
数は五隻。
一つは旗艦アルフォンスに酷似しているが、サイズはアルフォンスより小さい。
残る四つは標準的な帝国船と似ているが、明らかにデカい。
アルフォンスも大型に分類される船だが、そのアルフォンスよりもさらにデカい。
「アル殿下! これぞ我が傑作! 旗艦アルフォンス専用随伴船です! 名前はまだないので、アル殿下につけていただきたい!」
「海務大臣。見た目的には中々の完成度のように見えるが?」
「見た目だけです。説明しますと、中央に位置するのは旗艦アルフォンスを建造する際の試作型で、あくまで見た目だけの物です。残る四隻はキューバー技術大臣が言ったように、〝随伴船〟です」
随伴船という言葉をギレスベルガーは強調する。
外見からだいたい意味は察することはできる。ただ、聞くだけ聞いてみよう。
「その〝随伴船〟というのはどういう意味だ?」
「よくぞ聞いてくれました! そのためには中央のアルフォンス試作型をごらんください!」
キューバーはノリノリで説明を始める。
言われたとおり見てみると、試作型の船首には巨大な砲塔があった。見たことないタイプの魔導砲だ。
「九十九式集束魔導砲。通称・雷霆でございます! あまりにも魔力消費量が多いため、アルフォンス単独では発射できない代物でしたが、それを四隻の随伴船で解決しました! アルフォンスよりも大型の魔力炉を搭載した四隻から魔力供給を受けることで、この雷霆を発射することできます! まさに戦局を一変させる決戦兵器です!!!!」
「なるほど」
船が大型化したのはそのせいか。
ただ、その分、速度は期待できないだろうな。アルフォンスに搭載されているモノは速度も考慮されたものだ。
何の遮蔽もない海で戦う以上、船の速度は大事になってくる。
それらをすべて切り捨てたのがこの随伴船か。
「閣下。この兵器は……」
「わかっている。失敗作なんだろう? 試射は行ったのか?」
「試作型に載せて試射を行いました。大した威力なのは認めますが、試作型は半壊。今も修理中です。反動も大きく、四隻と連結していなければ発射は困難です」
「的というわけか」
「いやいや! 開戦と同時に叩き込むのが雷霆の使い方です! 一撃で敵艦隊を半壊に追い込めます!」
「たしかにそういう使い方しかないだろうな。ただ、欠点はそれだけじゃないんだろう?」
ギレスベルガーのほうを見ると、深く頷いている。
開幕での先制攻撃。威力が保証されているなら、何の問題もない。
それなのにギレスベルガーは失敗作といった。
何か明確な欠点があるんだろう。
「この四隻がいなければ雷霆は撃てません。しかし、この四隻がいても雷霆に必要な魔力はギリギリなのです。つまり、この四隻は魔導砲を搭載できていません。また速度も遅いため、戦闘が開始した場合、真っ先に置いていかれます。敵に接近することもできないのです」
「つまり、本当に雷霆のためだけの船ってことか。敵に損害を出せるが、同時にこっちは四隻が使い物にならなくなると……」
人員は有限だ。
ましてや王国までの距離は長い。
船一隻動かすのに、それなりに訓練した船員を揃える必要がある。
彼らが軒並み無力化されてしまう。
それはたしかに欠点だな。
「しかしですな! 欠点を補ってあまりある長所! 威力があります!」
「一隻に過剰な戦力を集中させるのは論外だ! そもそも我々が依頼したのは護衛船であって、随伴船ではない! あなたの趣味で我らの艦隊計画を変えないでいただきたい!」
「護衛船を作るだけの予算があれば作ったさー。アルフォンスだけでもギリギリだったのに、護衛船を新造するなんて無理ってものだと思わないかね? 海務大臣。だから、私はこうしてできる予算の中で、最大の成果をだね」
「雷霆を撃ったあと、何もできない鈍足の船に誰が乗りたい? 大事な部下をみすみす的にするのはごめんだ!」
「後ろに下がっていればいいのさ。大したことじゃない」
「何が起きるかわからないのが海の上だ! これだから技術者は!」
「文句ばかり言うな! 予算があれば完璧な護衛船を作ったさ! 予算がないのに贅沢を言うな!!」
売り言葉に買い言葉。
大臣同士にしては醜い争いだ。
しかし、現状の帝国に船を遊ばしておく余裕はない。
作ってしまった以上、活かす方法を考えるべきだろう。
そう思い、俺は言い争う二人を尻目に随伴船の中へ入っていく。
魔導砲を搭載することを想定してないため、見た目以上に中はスカスカだ。
ほぼ輸送船といえる。
これが人員輸送任務ならよかったが、連合艦隊の任務は王国海軍を排除することだ。
人員は陸路でいくらでも送れる。
目標が海の上である以上、陸上戦力をいくら積んでも意味はない。
足が遅い上に的もでかいから、接近するまえに集中砲火を浴びるだろうしな。
「ふむ、常識に囚われている場合じゃないか……」
一つ案がある。
だが、可能かどうかがわからない。
試してみるしかないが、そこまで時間もない。
何もかも駄目になる可能性もある。
ただ、可能なら海戦を有利に進めることができるだろう。
「長所は有り余るスペース。大型船のため、鈍足だが他の船よりも安定している。加えて先制攻撃以降は攻撃に参加しない」
条件は満たしている。
ならば試してみるしかないだろう。
「早馬を帝都に出せ。臨時元帥の権限により、第六近衛騎士隊の派遣を要請する。海務大臣! 旗艦アルフォンスは今、どこにいる?」
「は、はっ! 旗艦アルフォンスは現在、この港に向けて航海中かと。正確な位置は不明ですが、数日中には到着すると思われます」
「よろしい。技術大臣。急ぎ、随伴船を改装できるか?」
「どこを改装するかによります」
「内装を変えてほしい。なるべく住み心地よく、な」
「やってやれないことはないでしょうが、誰を乗せる気ですか?」
「天隼だ。できれば開閉式のハッチも頼む。これよりこの随伴船は航空戦力の輸送船へ作り替える。もちろん、天隼が船に対応できればの話だがな」
俺の提案にギレスベルガーは顔をひきつらせ、キューバーは面白そうに顔を輝かせた。
自分でも無茶を言っているのはわかっているが、これくらいしか解決策がないんだから仕方ない。
あとは試してみて、どうなるか。
天隼も生き物だ。合う、合わないはあるだろう。連合王国では飛竜運搬用の船があると聞くが、あくまで運搬用。海の上で出撃するモノじゃない。
ただ、フィンとノーヴァは船に着陸することができていた。
長期間の航海は訳が違うだろうが、可能性はある。
平面的な海上戦で空から攻撃できるなら、これほど有利なことはない。
雷霆と組み合わせれば、敵艦隊を一方的に片づけられるかもしれない。
「喜べ、海務大臣。もしかしたら海軍の時代が来るかもしれないぞ?」
言いながら俺はニヤリと笑うのだった。