927話 大量のゴミ
927話 大量のゴミ
門を出て、フラフさんに教えてもらった通り左に進む。
「あぁ、なるほど」
先頭を歩くセイゼルクさんが振り返る。
「どうした?」
お父さんの言葉に、セイゼルクさんは肩を竦める。
「フラフの言った意味が分かった」
セイゼルクさんが指す方を見ると、木々の間からゴミの山が複数見えた。
「捨て場ではないな。もしかして、捨て場以外のところにゴミを積み上げているのか?」
「そうみたいだな」
シファルさんが呆れた様子で言うと、ラットルアさんも似た表情で頷く。
「捨て場以外の場所にゴミを置くのは危険だよね?」
捨て場には、魔力を分解するマジックアイテムが地面に埋め込まれている。
そのお陰で、魔物が凶暴化しないと聞いている。
「あぁ、かなり危険だ。一時的に置いているだけならいいが」
お父さんが険しい表情でゴミの山に近付く。
そして、溜め息を吐いた。
「土ぼこりをかぶっているし、雨に濡れた形跡もある」
つまりゴミが積みあがってから少し時間が経っているという事だよね?
「んっ?」
ソラ達の入っているバッグが、動いている?
「どうしたの?」
周りの気配に注意しながら、バッグの蓋を開ける。
「ぷっぷ~」
「てっりゅりゅ~」
勢いよく飛び出してきたソラとフレム。
2匹はゴミの山を見て、プルプルと嬉しそうに揺れた。
もしかしてゴミの話を聞いて、我慢が出来なくなったのだろうか?
「にゃうん」
シエルがバッグから飛び出すと、本来の姿に戻り背を伸ばした。
「ぺふっ」
ソルの声にバッグの中を覗き込む。
欠伸をしたソルが、触手を私に向かって伸ばす。
「出して欲しいの?」
「ぺふっ」
ソルをバッグから出し地面に下ろそうとするが、触手が私の腕に絡まる。
「……下りないの?」
「ぺふっ」
腕の中でジッとしているソル。
見ると、まだ欠伸をしている。
これは、まだ眠いんだな。
ゴミの山を見ながら、捨て場に向かう。
ソラとフレムは、ゴミの山に登っては嬉しそうにポーションや剣を食べている。
コロコロ。
コロコロ。
「ソラとフレムの飛び跳ねる振動でゴミが崩れているな」
お父さんの視線を追うと、ゴミの山から空の瓶が転がった。
「ソラ、フレム。ゴミの山が崩れるかもしれないから気を付けてね」
「ぷっぷぷ~」
「てっりゅりゅ~」
ゴミの山で飛び跳ねる2匹。
不安だ。
「あぁ、これは酷いな」
セイゼルクさんの視線の先を見て、呆然とする。
「凄い量のゴミだな」
ラットルアさんの言う通り。
捨て場には、見た事が無い量のゴミがあった。
「ぷっぷぷ~」
「てっりゅりゅ~」
「ぺふっ」
嬉しそうな鳴き声を上げる3匹。
「あれ?」
腕の中を見ると、ゴミの山を見つめるソルがいた。
どうやら目が覚めた様だ。
「ぺふっ」
勢いよく腕の中から飛び降りると、捨て場に向かう。
それに釣られる様にソラとフレムも捨て場に向かった。
「あの子達は嬉しそうだな」
シファルさんが、ソラ達を見て笑う。
「まぁ、ソラ達にとっては食べ放題だからな」
お父さんがソラ達に手を振ると、3匹がプルプルと震える。
「ゴミの中に危険な物も混ざっているだろうから、気を付けて食事をするんだぞ」
「ぷっぷぷ~」
「てっりゅりゅ~」
「ぺふっ」
捨て場の中を飛び跳ねながら答える3匹にハラハラする。
本当に気を付けて欲しいんだけどな。
きゅしゅわ~、きゅしゅわわ~、きゅしゅわ~、きゅしゅわわ~。
しゅわ~、しゅわ~。
ぐしゃ、ぐしゃ、しゅわ~、しゅわ~。
ポーションや剣、マジックアイテムを消化する音が捨て場に響く。
いつもながら、賑やかだ。
「捨て場の周りを見て来るよ。ラットルアはここにいてくれ」
セイゼルクさんが、シファルさんとヌーガさんを連れて捨て場周辺を調べ始める。
それを見送り、ソラ達を見る。
「捨て場の外にあるゴミの山には、マジックアイテムはないな」
ラットルアさんの言葉に、捨て場から溢れたゴミの山を見る。
確かに見える範囲にマジックアイテムは見当たらない。
「その辺りは気を付けているのかもな」
さすがに魔物を凶暴化させる可能性のあるゴミは、捨て場の外には置かないか。
まぁ、それ以外のゴミにも気を付けた方がいいと思うけど。
「にゃうん」
シエルを見ると、遠くを見てから私を見た。
これは食事に行く合図だね。
「気を付けてね」
「にゃうん」
颯爽と走り去るシエルを見送る。
そういえば、捨て場周辺には魔物の気配がない。
小さい魔物の気配もないので、少し気になるな。
「どうだった?」
ラットルアさんの言葉に、セイゼルクさんが肩を竦める。
「捨て場の向こう側にも、ゴミが溢れていた。マジックアイテムだけは、捨て場に放り込んでいるみたいだけどな」
最低限、守らなければならない事だけは守っている感じかな。
それにしても、どうしてこんな状態になってしまったんだろう。
「ぷぷ~」
「てりゅ~」
「ぺふっ」
満足そうに捨て場から出て来る3匹。
その姿を見て、セイゼルクさん達が口元を抑えた。
「皆、ちょっと食べ過ぎだよね? とても丸く……ぷっ」
ソラ達の姿に噴き出してしまう。
まさか、またまん丸の皆に会えるなんて。
「ぷっ?」
「てりゅ?」
「……」
ソラ達が不思議そうに私達を見て、体を傾ける。
よくする仕草なんだけど、丸いから。
「ぷぷっ?」
「てりゅりゅ?」
「ぺふっ?」
コロコロと転がる3匹。
「あはははっ。駄目だ」
ラットルアさんが声を上げると、セイゼルクさん達も我慢が出来なかったのか声を上げて笑い出した。
「アイビー、ソラ達は大丈夫なのか?」
笑いが収まると、シファルさんが私を見る。
「うん、大丈夫。前にも食べ過ぎて丸くなった事があるから」
「そうか。良かった」
「にゃうん」
シエルの鳴き声に視線を向けると、木々の間からシエルが姿を見せた。
「おかえり。お腹いっぱいになった?」
「にゃうん」
満足そうに鳴くシエルは、傍にいるソラ達を見て一瞬動きを止めた。
「食べ過ぎただけだから、大丈夫だよ」
「にゃっ」
姿が変わっていたから驚いたんだろうな。
「そろそろ町に戻るか」
お父さんの言葉に、ソラ達がいつものように飛び跳ねた。
でも丸いせいで着地に失敗し転がってしまう。
「ぷぷっ!」
「てりゅっ!」
「ぺふっ!」
楽しそうに鳴くソラ達に、少し嫌な予感がする。
「ぷ~」
「てりゅ~」
「ぺ~」
楽しそうに転がり出す3匹。
「やっぱり、楽しくなってきたんだね」
コロコロと転がって移動するソラ達に、ラットルアさん達が笑顔になる。
「転がるのはいいけど、気を付けろよ」
「ぷ~」
「りゅ~」
「ぺ~」
転がりながら答えるソラ達にお父さんが溜め息を吐いた。