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991話 ポーションの数

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

991話 ポーションの数

ポーションを必要としている者がいるなら、もちろん渡す。

でも、ポーションの事をどうして知っているんだろう?

フォロンダ領主には、ソラ達の事は話したけどポーションの事を話していないよね?

もしかしてジナルさんかな?

あれ?

契約で話せない筈だよね?

「アイビー?」

フォロンダ領主が心配そうに私を見る。

「あっ、渡すのは大丈夫です。お父さんも、いい?」

お父さんを見ると笑って頷いた。

「今ある分を渡しますね」

すぐ取り出せるようにマジックバックには2本ずつ。

マジックボックスには、何本ぐらい入っていたかな?

ソラ達は気の向くままにポーションを作る事があるから、5本ずつはあったような気がする。

「アイビー達が使う分は残しておいてくれ。全て買い取った後に必要になったら困る」

いや、なくなったと知ったら絶対にすぐに作ると思う。

もの凄く楽しそうに大量に。

「それより、フォロンダ様。何処で俺達がそのポーションと――」

バン。

「アイビー! ドルイド!」

勢いよく庭に出る扉が開く。

気配もなくいきなり扉が開いたので、セイゼルクさん達とお父さんが立ち上がって武器に手を掛ける。

「ジナル? はぁ、気配を隠して近付かないでくれ」

セイゼルクさんが、溜め息を吐きながら椅子に座る。

「攻撃をしそうになった」

ラットルアさんの言葉にシファルさんとヌーガさんが頷く。

「悪い。急いでいたから」

ジナルさんが謝りながら私達の傍に寄ると、フォロンダ領主を見る。

「もしかして、既にお願いしました?」

それってポーションの事?

やっぱり話をしたのはジナルさん?

「あぁ、まぁ」

フォロンダ領主が、ジナルさんから視線を逸らす。

その彼の行動に首を傾げる。

「俺から説明すると言っておいたのに」

「悪い。ジナルは任務に出ていなかったし、彼等の事を考えると焦ってしまって」

苦しんでいる冒険者の事を考えたのか。

「ジナルがフォロンダ様に話したのか?」

お父さんが少し険しい表情でジナルさんを見る。

「いや、違う」

そうなの?

「フォロンダ様は各村や町に、信用している部下を潜り込ませている。そんな彼等からもたらされた情報を精査した結果、導き出した答えだ」

情報を精査した結果?

「ドルイドとアイビーが、問題を解決した場所だけで凄いあるポーションが出現するからな」

「「あっ」」

お父さんと私の声が被さる。

「他にも気付いた者がいるかもしれないのか」

お父さんが困った表情をする。

「大丈夫だ。ドルイド達が立ち寄っていない場所でも、凄いポーションは見つかっているから」

「えっ、そうなの?」

あっ、驚いて言葉使いが悪くなった。

「そのままでいいぞ。俺とアイビーの仲じゃないか」

公爵になるフォロンダ領主との仲?

「ちなみに、ポーションについてはちょっと噂が上がった程度だ。あと、凄いポーションには、俺が関わっているという噂も流しておいたから、アイビー達に辿り着く者はいないだろう」

噂で誤魔化してくれたんだ。

「「ありがとうございます」」

お父さんと一緒に頭を下げる。

でも、フォロンダ領主との仲ってなんなんだろう?

「アイビーと俺は、友達だろう?」

「えっ!」

いつの間に?

目を見開く私の様子に、声を上げて笑うフォロンダ領主。

「フォロンダ様。アイビーを揶揄わないで下さい」

あっ、揶揄われたのか。

「いや、友達みたいな関係になりたいのは本気なんだけど」

えっ?

「俺が公爵を押しつけられた話は聞いたか?」

全員が頷くと、フォロンダ領主が嫌そうな表情を見せた。

「まだ発表はされていないんだけど、既に情報は出回っているんだよな。そのせいで、今まで俺の事を馬鹿にしていた奴等が、手のひらを返すようにごますりに来る」

ちょっとだけ、想像が出来るな。

「田舎の領主風情と言っていた奴等に『これからも、よろしく頼む』とか言われると、顔面に蹴りを入れたくなる」

「「「「「……」」」」」

「領主会など力のない者達の集まりだと言っていた奴等に『私も領主会に、一度は参加したいものだ』と言われると、毒を盛りたくなる」

「「「「「……」」」」」

「『私の孫娘は器量がとてもいい。再婚相手にどうですか?』と息子達より若い娘を勧められると、首を切り落としたくなる」

疲れているのかな?

あっ、よく見ると隈があるし顔色も悪いかも。

「最近はこんな殺伐とした人間関係ばかりで、疲れてるんだ。だからドルイド達を見ると、嬉しくなって甘えてしまった」

本当に疲れているんだな。

私とお父さんを見て嬉しくなって甘えるなんて。

「でも、友人のような関係になりたいのは本心だ」

返事はどうしたらいいんだろう?

お父さんに視線を向けると、困った表情をしている。

「無理強いはしない。友人は無理でも親しい関係ではあるからな」

そうかも。

あれ?

親しいも友人も、あまり変わらないのでは?

「アイビー、ドルイド」

フォロンダ領主に視線を向ける。

「ポーションの事に話を戻すが、すぐに貰えるだろうか? あと、1本の値段を聞いておきたい」

苦しんでいる冒険者がいるんだから早く欲しいよね。

「ちょっと待って下さいね」

マジックバッグを開け、青と赤のポーションをテーブルに出す。

お父さんを見ると、よく使うマジックボックスから青のポーションを6本、赤のポーションを7本出していた。

「えっ? こんなにあるのか?」

テーブルに並ぶポーションに、フォロンダ領主が驚いた声を上げる。

「まだもう1個、マジックボックスがあります」

マーチェ村が襲われた時に、持っていたポーションを全て使い切った筈なのに、もう1個あるの?

お父さんが鍵付きのマジックボックスをマジックバッグから取り出し蓋を開ける。

そしてそこから、各ポーションを40本ずつ取り出した。

「こんなにあるんだ」

お父さんが私を見る。

「言ってなかったか?」

質問に頷くと「ごめん」と謝って、私が肩から下げているソラ達が入っているバッグを見る。

「マーチェ村でポーションを渡しただろう?」

「うん」

「騒動が落ち着いた後、空のマジックボックスを見たあの子達が作ってくれたんだ」

「そうなの?」

「あぁ、何かあった時に困ると思ったんだろうな」

そうか。

あのポーションはソラ達の優しさだ。

ソラ達が入っているバッグを、優しく撫でる。

それを見たフォロンダ様が、私に笑いかける。

「アイビーのテイムしている子達を自由にしていいぞ」

驚いた表情でフォロンダ領主を見る。

「大丈夫なんですか?」

この豪邸には、人がいっぱいいる筈。

でも、さっきからドールさんしか見ていないな。

「大丈夫。この家には、ドールとその妻のフォリーしかいない。あとこの家に来るのは、アイビー達の知っている者達だけにしておくから安心してくれ」

それだったらいいのかな?

でも、ここは庭だよね?

周りを見る。

庭は広く木々の配置で外からは見えないみたい。

「大丈夫だろう」

お父さんの言葉に頷くと、ソラ達の入っているバッグの蓋を開けた。

あれ?

いつもだったら飛び出してくるのに、出てこない。

バッグの中をそっと覗くと、ソラ達と視線が合う。

何だろう?

ソラ達が緊張しているみたい。

「もしかして、この庭の雰囲気かな?」

森とは違って、庭には独特な雰囲気がある。

「庭を壊しても問題ないから大丈夫だ」

フォロンダ領主の言葉に、バッグが揺れる。

そしてそっとソラとフレムが、バッグから出てきた。

その後に、シエルと、ソル。

4匹は庭を見て、すぐに私とお父さんの膝の上に乗る。

どうやら、庭の雰囲気にいつもみたいに出来ないと思ったようだ。