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1040話 ソルが反応した物

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

1040話 ソルが反応した物

「魔物除けのマジックアイテムは、他のマジックアイテムよりも作りが単純だから、もし改良されていればすぐに分かる。実際に改良版をいくつか見せてもらったけど、俺でもどこを手直ししたのか分かったくらいだ。この果樹園を守るために魔物除けをたくさん使っているオトガさん達なら、もらった物を確認せずに使うことはないはず。贈った方も、その点は分かっているだろうから、もし手を加えるとしたら薬草の方じゃないか?」

ラットルアさんの説明にセイゼルクさんが少し考え込む。

「俺もそう思ったんだが、薬草だって確認したらバレないか?」

「まぁ、そうなんだけど。薬草にはたくさんの種類があって、似たような香りでも違う効果を持つものがあるかもしれない。そういう薬草を使えば、バレないんじゃないか?」

「魔物除けを多く使っているなら、薬草についても勉強しているだろう。だから、紛らわしい薬草が使われていると分かった時点で、その魔物除けは使わないと思うぞ」

シファルさんの指摘にラットルアさんが頷く。

「それもそうだな。だったらあの魔物除けには、何があるんだ?」

ラットルアさんの疑問に、全員が首を傾げる。

「オトガさんに頼んで、魔物除けを見せてもらった方が早いな。どうやって頼めば見せてくれるだろう?」

セイゼルクさんはそう言うと、考え込んだ。

「俺も行くよ。不審な客に見えたから、彼らが置いていった物を見せてくれと正直に言えばいいだろう」

「それもそうか」

シファルさんの提案にセイゼルクさんが納得したように頷く。

セイゼルクさんが私達を見る。

「ラットルア達は、先に夕飯を食べて休んでくれ。明日もトースの巣を探すために森を歩き回るから、疲れを溜めこまないようにな」

「分かった」

ラットルアさんの返事に私も頷く。

「アイビー、お風呂で汚れを落としてから夕飯にしようか」

「うん」

大きなお風呂だから、入るのが楽しみだったんだよね。

「ソルが反応した時は少しドキッとしたな」

お父さんがソルを抱き上げる。

「どうして?」

私が首を傾げると、お父さんが笑う。

「あの魔物除けに、魔法陣でも刻まれているのかと思って」

「ぺふっ」

お父さんの言葉に答えるように鳴くソルに、皆の動きが止まる。

そして、部屋を出ていこうとしていたセイゼルクさんとシファルさんが振り返った。

「ソル。あの魔物除けから魔法陣を感じたのか?」

「ぺふっ」

シファルさんの質問に答えるソル。

「シファル、急ごう。いつ魔法陣が発動するか分からない」

「あぁ」

セイゼルクさんの言葉に、シファルさんが頷く。

「アイビー、ドルイド。もしかしたら、魔法陣の無効化をソルにお願いするかもしれない。その時は頼む」

セイゼルクさんは私とお父さんを見て言うと、シファルさんと共に部屋を出ていった。

「ソル」

「ぺふっ?」

ソルを呼ぶと、お父さんの腕の中から私を見る。

そっと頭を優しく撫でると、ソルは気持ちよさそうに目を閉じた。

「教えてくれてありがとう。ソラも、ありがとう」

テーブルにいるソラの頭もそっと撫でる。

「ぷっぷぷ~」

ソラ達をバッグに入れて、セイゼルクさんの部屋を出るとラットルアさんが「あっ」と、声を上げた。

「どうしたんだ?」

お父さんがラットルアさんを見る。

「この部屋の鍵、セイゼルクから預かった?」

ラットルアさんの質問に全員が首を横に振る。

「慌てていたから忘れたんだな」

ヌーガさんが、今出てきた部屋を見る。

「どうする? 鍵を開けたままにしておくのは危険だと思うけど」

お父さんの質問に、ラットルアさんは隣の彼が借りている部屋に入っていった。

そしてすぐに、手のひらサイズのマジックアイテムを持って戻ってきた。

「それは、施錠のマジックアイテムか?」

「うん。これを見たら、俺かヌーガのところに行くだろう」

ラットルアさんは、持っていたマジックアイテムを鍵穴にかぶせるとボタンを押した。

「よしっ、これでいいな。お風呂に行こうか」

ラットルアさんの言葉に、お父さんが首を横に振る。

「俺とアイビーは、魔法陣の事が解決してからにするよ。今すぐ呼びに来る可能性もあるから」

「あ~、そうだったな」

ラットルアさんがお父さんを見て苦笑する。

「それなら俺達もあとでいいよ。最悪、魔法陣が今発動する可能性もあるわけだし」

どんな魔法陣が分からないから、怖いな。

「食堂で夕飯を食べよう。もし食事中に呼ばれても、料理ならそのまま置いておけるから」

ヌーガさんの提案に頷いて食堂に向かう。

食堂に入ると、キャスさんと彼女の前に座っている30代後半ぐらいに見える女性の冒険者がいた。

「お疲れさま。トースの巣は見つかった?」

キャスさんが私達を見ると、手を振る。

「まだ初日なんだから見つけられるわけないだろうが。無理な事を言うな」

ラットルアさんが返事をする前に、キャスさんの前に座っている冒険者が声を上げる。

「あっ、そうか。ごめんなさい」

申し訳なさそうな表情になるキャスさん。

「大丈夫です。今日は4つの巣を見つけて、全て駆除しましたよ」

「「えっ?」」

ラットルアさんの返事にキャスさんと、正面に座っている冒険者が驚いた声を上げる。

「あの、既に4つも見つけた、んですか?」

キャスさんの前に座っている冒険者が、戸惑った表情で私達を見る。

「えぇ、そうです」

ラットルアさんは楽しそうに答えると、料理が並ぶ場所に向かった。

「おいしそうだな」

「うん」

お父さんの言葉に頷きながら、好きな料理をお皿に盛っていく。

「ヌーガ、肉ばかり載せ過ぎだ」

ラットルアさんの声に視線を向けると、小分けするお皿にお肉を積み上げるヌーガさんがいた。

お父さんは、それを見て笑っている。

キャスさん達から少し離れた場所に皆で座ると、料理を食べ始める。

「うまいな」

お肉にかぶり付いてヌーガさんが呟く。

「そうでしょう? オトガさんが良い料理人を雇ってくれているのよ。あっ、私は『青花』のメンバーでボーグというの、よろしくね」

キャスさんの前に座っている女性の冒険者が、私達に向かって小さく頭を下げる。

「俺はラットルア。短い間だけどよろしく」

ボーグさんの挨拶にラットルアさんが笑顔で答える。

「ドルイドです。よろしく」

「娘のアイビーです。よろしくお願いします」

お父さんのあとに続けて挨拶すると、ボーグさんが笑顔で頷いた。

「ヌーガだ。よろしく」

ヌーガさんは簡単に挨拶を終わらせると、すぐにお肉にかぶり付く。

かなり気に入ったんだね。

「あれ? リーダーのセイゼルクさんと、あともう1人はどうしたの?」

キャスさんが不思議そうな表情をする。

「少し用事があり、オトガさんのところに行っています」

ラットルアさんが答えるとキャスさんが頷く。

「そうなんだ。それにしても、この短時間で4つもトースの巣を見つけるなんて凄いわね。前にオトガさんが『トースの巣を見つけるのが上手な冒険者達に依頼しました』って言ってたけど、本当だったのね」

えっ、オトガさんはそんな風に言っていたの?

キャスさんの話に驚いてラットルアさんを見ると、彼も驚いた表情をしていた。

「いや、過去に依頼を受けた事があるだけで、特別に上手というわけではないんですよ」

「えっ? でも、既に4つ見つけたんでしょう? だったら、上手でしょう?」

ラットルアさんの否定に、キャスさんが首を傾げる。

「それは、協力者のおかげだな」

ヌーガさんの呟きに、キャスさんとボーグさんの視線がお父さんに向く。

「いや、俺ではないです」

お父さんが首を横に振ると、キャスさんとボーグさんが驚いた表情で私を見る。

バタン。

「アイビー、来てくれ!」

食堂の扉が慌ただしく開けられると、シファルさんが飛び込んで来る。

そして、私を見つけると大きな声で呼んだ。