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1101話 王都の冒険者達

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

1101話 王都の冒険者達

「ゴーコスさん」

「なんじゃ?」

ゴーコスさんが、お父さんに視線を向ける。

「噂を誰が流したのか、そして誰が広めたのか調べたんですか?」

「まだじゃ。冒険者ギルドから、噂について調べるような依頼もまだ出してはおらん」

「そうですか」

「じゃが、王都の冒険者ギルドに所属している冒険者達が既に動いているじゃろう」

ゴーコスさんの言葉に首を傾げる。

「動くって?」

私の問いに、お父さんが私を見る。

「アイビーの噂は、アイビーを上位冒険者にした冒険者ギルドを侮辱する内容だ。だから、その冒険者ギルドに所属している冒険者達にとっては、喧嘩を売られているようなものなんだ」

「そうなの?」

「あぁ、彼らを評価している組織に対して『見る目がない』と騒いでいるのだからな。それは、彼らに対する評価も不当だと言っているようなものになる」

私の噂が冒険者ギルドに関わる人達に影響するなんて、考えもしなかったな。

「自分が所属している冒険者ギルドには愛着がある。それに、様々な問題を一緒に解決してきた仲間意識もある」

シファルさんの言葉に、ラットルアさん達が頷く。

「困った時に助けられたから、今度は俺達が助ける番だって思う冒険者も多いんだよ」

ヌーガさんはそう言うと、ランカさんを見る。

「王都の冒険者ギルドに所属している冒険者達の傾向は?」

「冒険者ギルドに対して恩を感じている冒険者が多いわね。王都の冒険者ギルドは、冒険者達がなるべく仕事をしやすいように心がけているの。様々な知識を学べる場を作ったり、貴族の壁になったり、問題の仲裁をしたり。怪我をして冒険者を続けられなくなった時は、次の仕事が見つかるまで相談に乗ったり、仕事を斡旋したり。ずっと昔からこの方針を貫いてきたからなのか、冒険者達の冒険者ギルドへの思い入れは、他の村や町の冒険者達より強いと思うわ」

冒険者ギルドって色々な事をしているんだな。

「特に冒険者ギルドに対して思い入れが強いのは上位冒険者達ね。中位冒険者達も、上位冒険者達の影響で冒険者ギルドに対して愛着を持っているわ」

ランカさんの説明を聞いたシファルさんが意味ありげに笑う。

「つまり、噂を流した奴らは、王都の冒険者ギルドに所属する、上位冒険者や中位冒険者を敵に回したわけか」

それは恐ろしいな。

「全員ではないでしょうけどね。それにしても、愚かな事をしたわね。噂は確かに人を貶めるのに有効な攻撃方法だけど、使い方によっては自分に跳ね返ってくるのに」

「あぁ、それで……」

私達の会話を聞いていたリューガさんが小さな声で呟く。

「それでって?」

ラットルアさんがリューガさんを見ると、彼は楽しそうに笑う。

「冒険者ギルドの休憩室なんですけど、今日はやたら上位冒険者達が多くて不思議だったんですよ。依頼を見に行く様子もないし、なぜかお茶やお菓子を持ち込んでのんびりしているから」

「それは情報交換か、もしくはどう動こうか周りと調整する為だな」

ランカさんの答えにリューガさんが頷く。

「そうなんでしょうね」

「王都の上位冒険者達は頼もしいのう」

ゴーコスさんが嬉しそうに言い、お茶を飲む。

「ゴーコスさん、私達をここに呼んだ理由はなにかしら?」

ランカさんの問いにゴーコスさんが1度頷く。

「依頼をしたじゃろう?」

ゴーコスさんがシファルさんを見る。

「はい。テイムした魔物に異変が起こっていないか、調べて欲しいと依頼しました」

「その依頼じゃが、取り下げておいた」

「えっ?」

ゴーコスさんの言葉に、シファルさんが驚いた声を上げた。

「冒険者ギルドが、調査をする事になったんじゃ」

「それは、問題のある魔物が確認されたって事ですか?」

シファルさんの真剣な表情に、ゴーコスさんが頷く。

「一部じゃがな。急に魔物がテイマーに向かって威嚇するようになったそうじゃ。アイビーさんの家族は大丈夫かの?」

「はい。皆を出してもいいですか?」

ゴーコスさんからリューガさんへ視線を向けると、リューガさんは期待を込めた目で私を見ていた。

「リューガは大丈夫じゃからいいぞ。久しぶりに会いたいしのう」

ゴーコスさんから許可をもらい、皆が入っているバッグの蓋を開ける。

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

「にゃうん」

勢いよく跳び出すソラ達にリューガさんが目を見開く。

そして手で口を押さえた。

「可愛い。なんですか、この可愛らしさ。あ~、抱っこしたいけど駄目ですよね。でも、触るぐらいなら……」

口を押さえているせいか、リューガさんのくぐもった声が聞こえてくる。

「ソラ達がいいといえば、抱っこしてもいいですよ」

私がそう言うと、リューガさんが真剣な目で私を見つめる。

「いいのでしょうか? でも、テイマーしか触れませんよね」

あっ、そうだ。

テイムした魔物は、テイマー以外は触れないのが普通だったね。

「この子達は大丈夫じゃよ。ほら」

ゴーコスさんを見ると、嬉しそうに笑ってソラを抱っこしていた。

「いいな」

ゴーコスさんに抱っこされているソラを見て、リューガさんが小さな声で呟く。

「てっりゅりゅ~」

フレムがリューガさんの足元に行くと、彼に向かって鳴く。

「えっ? どうしたの?」

リューガさんが傍にいるフレムを見て困った表情をする。

「抱っこしてあげてください」

「えっ? 本当に?」

「はい」

リューガさんが緊張した面持ちでそっとフレムを抱き上げると、泣きそうな表情になった。

「えっ?」

少し驚いてリューガさんを見ていると、ゴーコスさんが呆れた表情をした。

「リューガの姉がテイマーなんじゃ。それで自分もテイマーになりたいと言っていたんじゃが、なれなくてな。しかも、こやつの姉がテイムした魔物には触れないみたいで、魔物と触れ合うのがリューガの夢じゃったんよ」

つまり、嬉し泣き?

「やっぱりいいですよね。テイマー、いいなぁ」

フレムを抱っこしたリューガさんが、本当に嬉しそうな表情で呟く。

そんな彼に、ランカさんまで呆れた表情をした。

「アイビーさんの家族に問題は起こっていないようじゃな」

ソラ達を順番に見たゴーコスさんが私を見る。

「はい。威嚇のような行動はしていません」

「うん、良かった」

ゴーコスさんがホッとした表情でソラを撫でる。

「問題があった魔物ですが、他におかしな行動などはないんですか?」

お父さんの問いに、ゴーコスさんが首を横に振る。

「問題が確認された魔物を集中的に調べているんじゃが、今のところは気になる点はないみたいじゃ」

「そうですか」

「テイマー達も戸惑っておった」

そうだろうな。

今までずっと仲良くしてきたのに、急に威嚇されたりしたら。

私もシエルが威嚇した原因が、調べてもわからなかったら戸惑うと思う。

「早く原因がわかればいいのに」

「そうだな」

私の呟きに、お父さんが私の肩を優しく撫でた。