LNCrawler

1107話 極秘でいろいろと

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

1107話 極秘でいろいろと

「ミミーナ、大通りを通って門を抜けて森に出ていいぞ」

ギルマスさんの言葉に、ミミーナさんが驚いた表情をする。

「いいの?」

「あぁ、大通りは広いから、デズでも通れるだろう」

ギルマスさんの言ったとおり、デズの大きさでも通れるくらい大通りは広い。

ただ、門へ行くには、大通りにいる人達の協力が必要だろうけど。

「確かに通れるわね」

ミミーナさんも大通りを見て頷く。

「ミミーナ、何が起こっているかわからないから気を付けて」

「わかった、気を付けるわ。まぁ、私もそれなりに強いし、仲間もいるから大丈夫よ」

ミミーナさんはそう言うと、近寄ってきた2人の冒険者に視線を向けた。

「ミミーナ、また勝手に依頼を受けたな。俺達は、王都に帰ってきたばかりだぞ」

「そうよ、少しは休憩をしたかったわ」

「ごめん、ガボ、キララ。でも、カシメ町に問題が起こると、こっちも騒がしくなるじゃない」

ミミーナさんが言うと、ガボさんは嫌そうな表情を浮かべた。

「まぁそうだな。前みたいに巻き込まれたら嫌だな」

「そうでしょ? それにビズもそうだけど、リーリーも今回は暴れ足りないみたいだったから」

ミミーナさんの言葉に、私は首をかしげる。

リーリーってなんだろう?

「リーリーというのは、ミミーナがテイムしているもう1匹の魔物だ」

私が不思議に思っている事に気付いたギルマスさんが、私を見る。

「もう1匹の魔物の種類はなんですか?」

「グークという種類だ」

グークは、4足歩行で足が速く、頭も良い魔物だったよね。

それに、人を乗せて走れる魔物だった筈。

2匹とも大きな魔物をテイムしているのか、ミミーナさんって凄いな。

「そういえば、リーリーはどうしたんだ?」

ギルマスさんが不思議そうにミミーナさんに問うと、彼女は肩を竦めた。

「あの子はまだ若いから、仕事の後はちょっと落ち着く時間が必要なの。だから、今は森にいるわ」

「そうか」

「ギルマス、仲間もきたし行ってくるわね」

「あぁ、頼む」

ミミーナさんの言葉に、ギルマスさんは神妙に頷き、ガボさん達に向かって小さく頭を下げた。

「皆、乗って」

ミミーナさんがカシメ町の冒険者達を見た。

「ありがとう、助かるよ」

カシメ町の冒険者達がデズに乗ると、ガボさんとキララさんも慣れた様子でデズに飛び乗った。

「「「行ってきます」」」

デズが動き始めると、大通りに集まった人達は左右にわかれる。

そしてなぜか歓声が上がった。

「王都の住民は柔軟性があるよな」

盛り上がる人達を見て、お父さんが小さな声で呟く。

「冒険者ギルドが、特定されないようにはしていたけど、テイマーによって王都は守られたって、住民にはしっかり知らせていたからね」

ランカさんがヒスさんを見て言うと、彼は嬉しそうに笑った。

「あぁ、チョンだとは発表されなかったが、テイマーの活躍はしっかり知らせてくれていたな。あれは嬉しかったよ」

「貴族達が、テイマーの活躍が知らされるたびにうるさかったけどね」

「はははっ、あれな……」

ランカさんが呆れた表情で言うと、ギルマスさんが乾いた笑いを浮かべた。

「貴族達がどうして騒がしくなるんですか?」

私の疑問に、ランカさんが私を見る。

「『テイマーを手に入れれば、大金を得られる』なんて事を、信じている貴族が多かったのよ」

「まぁ、その噂は嘘とは言えないんだよな。チョンと一緒だったら、森の最奥へ行ける。そうすれば、そこにあるレアな物を採ってこられるから、大金を稼ごうと思えば出来てしまう」

ヒスさんがチョンを見る。

「確かにそうですね」

私はヒスさんの言葉に頷き、シエルを見る。

洞窟の魔石とか、森の奥でしか採れない果実とか、いろいろあるよね。

「ギルマス」

私達の傍に、1人の冒険者が近付く。

「どうした?」

「面白いやつが引っ掛かった。報告をしたいんだけど、今、大丈夫か?」

冒険者の報告を聞いたギルマスさんは、凄みのある笑みを浮かべた。

「それは朗報だな。場所を変えようか」

ギルマスさんの提案に冒険者が頷くと、私を見た。

「安心していいぞ。ゴミはしっかり処分してやるからな」

「えっ、ありがとうございます?」

ゴミっておそらく、私の噂を流したり、何かしようとしている人の事だよね。

でもゴミに処分って……まぁ、自業自得かな。

「よろしくお願いします」

「おう、任せてくれ。そうだ、問題が片付いたら、アダンダラを撫でさせてくれないか? 無理には言わないけど」

私の傍に座っているシエルを見て、冒険者は期待のこもった目をした。

「はい。今でもいいですよ」

私がシエルを見ると、シエルは尻尾を振っている。

「いや。問題が解決してからでいい。頑張ったご褒美ってやつだ」

シエルを撫でる事がご褒美になるの?

「わかりました。えっと、頑張ってください」

「ありがとう。やる気が出るよ」

「ご褒美欲しさに無茶はするなよ」

ギルマスさんの注意に、冒険者が肩を竦める。

「大丈夫だ、たぶん」

「たぶんって……」

「そんな事は気にするな。ほら、報告、報告」

冒険者に背を押され、ギルマスさんが冒険者ギルドの中に戻って行った。

「さて、そろそろ俺達も行くよ。ランカ達も、帰るだろう?」

ヒスさんの言葉にランカさんは頷く。

「そうね。冒険者や住民へのお披露目は、これで十分だろうし。ドルイド、そろそろ帰らない?」

「そうだな」

冒険者ギルドへ来た時とは、まったく違う予定になったけど、これはこれでよかったよね。

「そういえば、ヒスはどこへ帰るの? ここまで公にお披露目したら、どこにいても目立つでしょう?」

ランカさんの言葉に、ヒスさんが声を潜める。

「中型と大型の魔物やレアな魔物をテイムした者達だけに立ち入りが許された区域が出来たんだ」

「えっ?」

ヒスさんの説明に、ランカさんが驚いた声を上げる。

レアな魔物という事は、私もその区域に入れるのかな?

「どこに?」

「王都の一番奥、そこに門があってその奥にあるらしい。ギルマスから話を聞いた時は驚いたよ」

「いつの間にそんな物を作っていたの? 知らなかったんだけど」

ランカさんが不思議そうな表情でヒスさんを見る。

「協会関係者が捕まった後ぐらいから作り始めたそうだ。極秘に進められていたみたいで、ギルド職員でも知らない者が多いかもな」

テイマーについては極秘扱いが多いな。

「そうなんだ。テイマー達だけの場所か、見てみたいわね。ヒスの招待があれば入れるかしら」

ランカさんの呟きに、ヒスさんが首を横に振る。

「今日は無理だぞ。引っ越しがあるからな。それにここに集まったテイマー達も、この話を聞いているだろうから、ここ数日はテイマー達の引っ越しが続くと思う。安全面を考えて、当分は部外者を入れないと思うぞ」

「お父さん、私は入れるのかな?」

「えっ?」

私の問いに、お父さんが驚いた表情をした。

「もしかして、そこに行きたいのか?」

お父さんが不思議そうに言うので、私はお父さんを見る。

「ずっとお世話になっているわけにもいかないし……」

王都に来てから、ずっとフォロンダ公爵にお世話になっているのが気になるんだよね。

それに、落ち着いたら宿に移動しようと話していたよね?

「そうだな。ただ俺達は、王都の冒険者ギルドを拠点にしているわけではないからな」

そうか。

ヒスさんの言った場所は、王都を拠点にしているテイマー達のための場所か。