LNCrawler

1121話 ランカの気になる事

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1121話 ランカの気になる事

シファルさんとヌーガさんが、大怪我を負ったダズさん達の怪我の状態や体調を調べ、王都まで歩けると判断すると、皆で王都へ戻る事になった。

「シファル」

「何?」

先頭を歩いているランカさんが、少し後ろを歩くシファルさんに声を掛ける。

「ソルがオークスの手袋に描かれた魔法陣に気付いたのは、魔物の後ろ脚に絡まっていた紐が一瞬光ったあとだったわよね?」

ソルの事?

ランカさんの言葉に、私は傍を飛び跳ねて遊んでいるソラ達を見る。

「あぁ、その通りだ。俺が一瞬光った紐に驚いた後で、ソルの鳴き声が聞こえた。それがどうしたんだ?」

「一瞬光ったって事は、魔法陣がその瞬間だけ発動したと考えていいわよね?」

「おそらくそうだと思う。発動した理由はさっぱりわからないけどな」

「そう」

シファルさんの説明を聞いて、ランカさんが考え込む。

「それがどうしたんだ?」

「ん~、気になるのよね。ソルはどうやって、オークスの手袋に隠された魔法陣に気付いたのか。それと、ダズ達の近くで魔物の様子がおかしくなった事も」

「2つの魔法陣が、反応した可能性を考えているのか?」

ランカさん達の会話を聞いていたお父さんが、ランカさんに聞く。

「うん。ドルイドはどう思う?」

ランカさんが真剣な表情で、お父さんとシファルさんを見る。

「俺も、ダズの話した魔物の変化は気になっている。ランカが考えているように、ダズの持っている魔法陣が、魔物の脚に絡んだ魔法陣を発動させたのだとしたら、急いで対処が必要だ。あと、手袋を店で買った事も気になる。もしかしたら、同じ物が王都にばらまかれたかもしれない」

「シファルは?」

お父さんの説明に神妙な表情をするランカさんは、シファルさんにも聞く。

「ダズ達が経験した魔物の変化と、一瞬光った後のソルの反応から、2つの魔法陣が反応した可能性は高いと思う。もし違ったとしても、魔物が急におかしくなった原因を調べる必要があるだろう。それと、手袋が普通に店で売られていた事は、俺も気になっている。最悪、数十個の魔法陣が王都中にばらまかれた可能性がある」

シファルさんが眉間に深い皺を刻むと、ランカさんが溜め息を吐く。

「オークス」

「はい」

「魔法陣が描かれていた手袋は、王都の店で普通に買えたのよね?」

ランカさんがオークスさんを見ると、彼は心配そうな表情で頷く。

ダズさんとルグルさんも、オークスさんと同じように心配そうな表情をしている。

「あのランカさん」

「どうしたの?」

ダズさんの呼びかけに、ランカさんが彼に視線を向ける。

「3年くらい前に、森の中で魔法陣が裏に描かれた盾を見つけたんです。触りたくなかったんですが下位冒険者達が薬草採取に来る場所だったので、ほかの冒険者が触らないように、俺達が冒険者ギルドに持って行ったんです」

「うん」

ダズさんの話にランカさんが頷く。

「その時に、冒険者ギルドの職員から魔法陣についての注意事項を聞きました。でも、魔法陣と魔法陣が反応し合うなんて言っていませんでした。今回は偶然という事はないですか?」

「どうかしらね。偶然だったら『運が悪かった』で片付くけど……。シファル達やドルイドは、魔法陣を発動させる魔法陣や、魔法陣を複数持つと勝手に発動するなんて噂を聞いた事がある?」

ランカさんがシファルさん達を順番に見るが、彼らは全員、首を横に振った。

「そう。まぁ、偶然だとしても調べないと駄目だからね。あ~もう、魔法陣には関わりたくないのに!」

ランカさんが大きな声で叫ぶと、ソラ達が楽しそうに反応する。

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

「いや、遊びで叫んだわけじゃないのよ」

ランカさんがソラ達を見ると、3匹で体を傾ける。

「はぁ、この子達を見ていると、本当に癒されるわよね~」

ランカさんが呟くと、ソラが楽しそうに飛び跳ねて、ランカさんの頭上に着地する。

「ソラ!」

私が慌ててソラを呼ぶと、ランカさんが片手を上げる。

「大丈夫よ」

頭の上にソラを乗せたランカさんが、嬉しそうに笑って、少し歩く速度を上げる。

「魔法陣については早急に報告が必要だから、もう少し急ぎましょう」

王都の門が見えてくると、ホッとした。

魔法陣と関わった為に、少し緊張していたみたいだ。

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

お父さんが私を心配そうに見るので、私は笑って頷く。

大通りを歩いていると、上位冒険者達が慌てて森へ向かうのが見えた。

ランカさんは門を出て行く上位冒険者を見て、かすかに眉間に皺を寄せる。

「久しぶりだね」

不意に聞こえた声に視線を向けると、年配の女性がランカさんを見ていた。

「うわっ、リョク? 王都にいつ戻ってきたの?」

「1時間前にね。それよりランカ、冒険者に戻ったんだね」

「そうなの。あっ、ごめん。私達、急いでいるから」

ランカさんがリョクさんに謝ると、冒険者ギルドへ向かう。

「何かあったのか?」

リョクさんが、なぜかランカさんを追って隣に並ぶ。

「森で問題が起こってね。その報告があるのよ。そういえば、森へ急いで行く上位冒険者達を見たけど、何かあったの?」

「捨てられた大地に近い場所で、魔法陣が見つかったのよ。いきなり発動したらしくて、周辺にいた魔物が暴れたの。そのせいで、複数の怪我人も出たらしいわ」

「魔法陣が発動?」

「何か気になる事でもあるの?」

ランカさんの様子を、リョクさんが首を傾げる。

「まぁね」

言葉を濁したランカさんに、リョクさんは頷くと、冒険者ギルドに一緒に入った。

「あれ? どこまで付いてくるの?」

「ランカの話を聞いたほうがいいと、私の勘が言っているから話を聞けるまでかな?」

リョクさんの説明に、ランカさんが呆れた表情をする。

「まぁ、良いけど。でも冒険者ギルドの許可が下りたあとよ」

ランカさんは冒険者ギルドに入ると、隅に寄り、私達を見る。

「ごめんね、彼女は上位冒険者のリョクよ。今は、捨てられた大地の調査に参加しているの」

えっ、捨てられた大地の調査?

「ダズ達は一緒に来て、説明をお願いね。あと、魔物についての説明も必要だからシファルも私と一緒に来て」

「「「「わかった」」」」

ランカさんは指示を出すと、ダズさん達とシファルさんを連れてカウンターへ向かう。

リョクさんは、その様子を見たあと、私達に視線を向けた。

「森で何があったの? 話せるところまででいいわ。教えて」

「魔法陣を見つけたんです。その魔法陣に問題がありそうなので、急いで報告をしに来たところです」

リョクさんの質問にお父さんが答えると、リョクさんは頷く。

「そう、魔法陣に問題が……」

少し困った表情をするリョクさんは、お父さんに視線を向ける。

「その問題は、捨てられた大地にも影響を及ぼすと思う?」

「わかりませんが、その可能性はあると思います」

お父さんの答えを聞いたリョクさんが、本当に嫌そうな表情をする。

「そう。はぁ、これ以上捨てられた大地で問題が起こってほしくないんだけど……」

捨てられた大地で何かあったのかな?

いずれ、捨てられた大地へ行きたいから、気になるな。