LNCrawler

1128話 最後の2個を見つけた!

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

1128話 最後の2個を見つけた!

「あの、かなり遅い時間ですが、何か用事があってこちらに来たのでしょうか?」

警備をしている男性は、不思議そうに私を見る。

「問題のある道具を持っている冒険者を探しているの。広場の中を歩き回ってもいいかしら」

「えっ。ここにあるんですか?」

ランカさんの説明に、警備をしていた男性の顔色が悪くなる。

「そうじゃないわ。何処にあるのかわからないから、探しているのよ」

「それは大変ですね。ですが、子供はそろそろ休んだほうがいいと思います」

警備の男性が心配そうに私を見る。

「そうなんだけど、彼女のテイムしているスライムが重要な役目を担っていてね。協力してもらっているの」

「ぺふっ」

ランカさんの説明に、ソルが胸を張って鳴く。

「うわっ、黒のスライムだ。黒? まさか……問題はあれですか」

警備をしている男性が嫌そうな表情でランカさんを見ると、彼女は頷いた。

「そうなの。ちょっと急いでいるから、いいかしら?」

「もちろんです。気を付けてくださいね。あれは本当に厄介な存在なので」

「ありがとう」

警備の男性の言葉にランカさんはお礼を言うと、私達を見て頷いた。

「行きましょう」

ランカさんの後を追って広場に入ると、警備の男性が小さな声で「ありがとう」と言った。

それに小さく頭を下げると、皆と一緒に広場を回る。

「道具はしっかり動いているのよね?」

全く反応しないソルを見て、ランカさんがジースさんに聞く。

「はい、魔石の中の魔力はまだ十分あるので、ちゃんと動いています」

ジースさんの返答に、ランカさんが肩を落とす。

「ここにはいないみたいね。次の広場へ行きましょうか」

王都にある冒険者のための広場は、下位冒険者用が3ヶ所。

それ以外の冒険者用が2ヶ所ある。

全てを回ったら、きっと朝日を見る事になるだろう。

「ありがとう。ここにはいなかったみたいだから次へ行くわ」

警備の男性にランカさんが声を掛けると、彼はホッとした様子を見せたあと、申し訳なさそうな表情をした。

「見つかるほうがいいんですが、いないとわかってホッとしてしまいました。すみません」

「気にしないで。お邪魔しました」

ランカさんが広場を出ると、後に続く。

「お疲れ様です。頑張ってください」

警備の男性に皆がそれぞれ軽く頭を下げ、広場を出ると、女性2人組が歌いながら隣を通り過ぎた。

「ぺふっ!」

「えっ?」

ソルが、女性2人組に向かって鳴き声を上げる。

「もしかして、彼女たち?」

私の問いに、ソルはうれしそうに鳴くと、2人の女性に向かって飛び跳ねる。

「あっ、ソル!」

ソルは、緑色のショートヘアの女性の肩に飛び乗ってしまう。

女性は、肩に乗ったソルを見て、なぜか笑い始める。

「見て。今日は酔いがやばい。幻覚まで見える~」

「かなり酔っているな」

お父さんが少し呆れた表情で2人の女性を見る。

「声を掛けても聞こえているかしら?」

ランカさんが少し困った表情をして、2人の女性に声を掛けた。

「すみません。ちょっと話があるのだけど、良いかしら?」

「へへ~、今日は初めて2人だけで討伐依頼が成功したんです! そのお祝いです! 拍手~」

緑色のロングヘアの女性が、ランカさんに向かって拍手しながら言う。

「これ、話が出来る状態ではないわよね?」

2人の女性の様子に、ランカさんが溜め息を吐いて、ジースさんを見る。

「そうですね。でも、無理やり道具を取り上げる事は出来ませんし……冒険者ギルドへ連れて行きましょうか」

「あっ、見つけた!」

40代くらいの女性が、2人の女性を見つけると、目を吊り上げた。

「この馬鹿ども! 何処に行っていた。探しても見つからないから焦っただろう」

「あ~、お母さんだ~。見て~、2人だけで依頼達成~」

「いえ~い」

2人の女性の言葉に、お母さんと呼ばれた女性が両手で顔を覆って溜め息を吐く。

「はぁ。あら? あなた方はどなたでしょうか? もしかして、この子達が迷惑を掛けましたか?」

少し焦った表情のお母さんに、ランカさんが首を振って、事情を説明する。

「それ、その問題のある道具の話を聞いて、2人を探していたんです。2人とも、持っているんです」

えっ、探している2個を、2人が持っているの?

「そうなんですか?」

「はい。ちょっと待ってくださいね」

ランカさんの問いに頷いたお母さんは、酔ってふらふらしている彼女達に近付くと、手首から腕輪を外そうとした。

「待ってください。そのままで」

「えっ、そうなの?」

お母さんが困惑した様子でランカさんを見る。

「はい。そのままでお願いします。それで問題の道具は彼女達の腕輪ですか?」

「綺麗でしょ~!」

「守護石の力を強くしてくれるんだって、ね~」

2人の女性は、うれしそうにランカさんに腕輪を見せる。

お母さんは、そんな2人の様子に首を振りながら、ランカさんを見た。

「2人から聞いた話では、その腕輪は守護石の力を強くして、魔物から守ってくれるそうです。『フーファ道具店』で2週間前に買ってきました」

「そうですか。あの、通常は腕輪を所持している2人に触れていいか、許可を取るんです。でも、かなり酔っていて無理そうなので、あなたに許可をいただけますか?」

「はい。お願いします。『フーファ道具店』の道具に問題があって、それが命に関わると聞いて2人を探していたんです。だから、お願いします。この子達を助けてください」

ランカさんや私達に向かってお母さんが深く頭を下げる。

「わかりました。えっと、1人ずつ、腕を前に出していただけますか?」

ランカさんの指示に、お母さんは頷くと、最初にショートヘアの女性の腕を前に出させた。

「ぺふっ」

「なに~、あははっ。やだ~スライムに食べられてる~」

腕輪に組み込まれた魔法陣を無効化しているソルを見て、女性が楽しそうに笑う。

その様子を見たお母さんが、呆れた様子を見せる。

1人目の対応が終わると、ランカさんが指示を出し、お母さんが2人目の女性の腕を前に出させた。

ソルがすぐに魔法陣の無効化を始めると、腕を前に出している女性がジッとソルを見る。

「いいな~。私も魔物と仲良くなりたい!」

「はいはい。仲良くなる前に、酒に飲まれないようにしないとね」

「は~い」

元気な返事に、私は思わず笑ってしまう。

「あれ?」

そういえば、ソルの無効化が終わったらソラの治療がある筈だけど、ソラは何処だろう?

私がソラを探していると、お父さんがシエルの背を指した。

「あそこだ、彼女を見たから治療をするかと思ったけど、動かない」

「そうだね。ちょっとソラに聞いてみるね」

もしかしたら、ただ眠いだけかもしれないし。

「ソラ」

「ぷぷっ?」

「治療はしないの?」

「ぷっぷぷ~」

「それは、必要ないから?」

「ぷっぷぷ~」

「必要ないのか」

振り返ると、シファルさんが神妙な表情で2人の女性を見ていた。

「終わりました。もう、大丈夫だと思うのですが……」

ランカさんがソラを見て、少し困った表情をした。

「必要ないそうだ」

「えっ、そうなの? 2人目の女性も?」

「ぷっぷぷ~」

ランカさんの問いに、ソラはシエルの上から答える。

「そう」

ランカさんは不思議そうに2人の女性を見つめる。

その様子に、お母さんは不安そうな表情で、2人の女性の手を握った。

「問題があるのですか?」

「いえ、大丈夫ですよ。酔いが冷めたら、冒険者ギルドへ行って、医者に診せてください」

「わかりました。あの、ありがとうございます」

お母さんがホッとした様子で、ランカさん達に向かって深く頭を下げた。