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1133話 森で何かが起こってる?

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

1133話 森で何かが起こってる?

「ドルイドさん、アイビーさん、お疲れ様です。怪我などしていませんか?」

冒険者ギルドへ依頼達成の手続きに行くと、ギルド職員の女性が笑顔で声を掛けてくれた。

最近親しくなった、ギルド職員になって25年目のカウリさん。

お父さんが手続きをしようとすると、最近はなぜか彼女が対応してくれるようになった。

「カウリさんもお疲れ様です。怪我はしていません。心配してくれてありがとうございます」

私が笑顔でお礼を言うと、カウリさんは微笑んで、私の傍にいるシエル達に視線を向けた。

「シエル達もお帰りなさい。今日も……みんな、可愛いわね」

カウリさんの言葉に、ソラ達が満足そうに、シエルの上で体を揺らす。

「ソラ、激しく揺れると落ちちゃうよ」

「ぷっぷぷ~」

ソラの鳴き声に、冒険者達の視線が集まる。

ソラが活躍した日から、シエルだけでなく、ソラも注目されるようになったんだよね。

さすがに慣れたけど、いや、まだちょっと恥ずかしい。

「ドルイドさん」

カウリさんは、私の隣にいるお父さんを見る。

「森の様子はどうでしたか? 変わりありませんでしたか?」

ここ数日、カウリさんはなぜか同じ質問をする。

お父さんに聞くと「森で何かが起こっているのかもしれないな」と言ったけど、何が起こっているんだろう?

森の異変で一番問題になるのは、魔法陣だと思う。

もしかして、問題のある魔法陣が発動でもしたのだろうか?

「俺達が今日行った場所では特に気になった事はなかったよ」

「そうですか、ありがとうございます。手続きをしますね」

お父さんから依頼表を受け取ると、お父さんと私は冒険者ギルドのカードを出して、カウリさんに渡す。

カウリさんは慣れた手つきで依頼達成の手続きを終えると、それぞれのギルドカードに報酬を振り込んでくれた。

「報酬はいつも通り振り込みました。確認をお願いしますね。というか、ちゃんと確認をしていますか?」

カウリさんの言葉に、お父さんがちょっと困った表情をする。

「ドルイドさん、振り込まれた報酬はちゃんと確認をしないと駄目ですよ。私どもは、間違いないように振り込んでいますが、間違う時もあるんです。それを見つけてもらう為にも、確認してもらっているんですから」

カウリさんの真剣な表情に、お父さんが困った表情で頷く。

「わかりました。ただ……」

お父さんが言葉を切ると、カウリさんの視線が鋭くなる。

「もしかして、振り込まれる報酬金額がいくらなのか、全く気にしていないから覚えていない、とかですか?」

お父さんがカウリさんから視線を逸らすと、カウリさんが大きな溜め息を吐いた。

どうしよう、私も依頼料とか気にした事がないな。

だって、ソラとフレムが作ってくれるポーションで大金が入ってくるし、フォロンダ公爵から、ソルが作る黒の魔石も欲しいと言われて、そちらからも収入があるから。

「いるんですよね。依頼料を全く気にしない上位冒険者が、複数」

お父さんや私だけじゃないんだ。

良かった。

「アイビーさん、ホッとしてはいけません。他にもいるからといって、安心しては駄目ですよ」

バレた!

カウリさんも、私の表情を読むんだよね。

「はい。気を付けます」

「俺も、これからは気を付けるよ」

お父さんの言葉に、カウリさんはお父さんを疑わしそうに見る。

「信用がないな」

「これまでの経験から、本当に気にしない人は気にしないですから」

カウリさんは何を思い出したのか、ちょっと疲れた表情を浮かべる。

「大丈夫だ。帰る前に、確認するようにすればいいから」

「ふふっ、わかりました。信用しましょう。でも、本当にちゃんと振り込まれているのか確認してくださいね。カシス町で、冒険者の口座に報酬を振り込む時に、報酬の一部を自分の口座に振り込んで、私腹を肥やした職員がいるんです」

「そうなんですか?」

お父さんが驚いた声を上げると、カウリさんが悔しそうに頷く。

「そうなのよ。全く、そんな事をする職員がいると、ちゃんとしている職員まで、何かしているんじゃないかって見られるから迷惑なのよね」

怒った表情で呟くカウリさんは、ハッとすると、お父さんと私を見た。

「ごめんなさい。愚痴をこぼしてしまいました」

「いいえ、大丈夫です。それに、カウリさんはそんな事しないと信じています」

「ありがとうございます」

私の言葉に、カウリさんが本当にうれしそうに笑う。

「そうだ、隣町の問題も、全て解決したそうです。それぞれの冒険者ギルドも平常に戻ったと連絡がありました」

「それは良かったです。隣町が騒がしいと、こちらにも影響が出ますからね」

お父さんが言うと、カウリさんが頷く。

「ドルイドさん、アイビーさん。明日もよろしくお願いします」

笑顔で言うカウリさんに、お父さんと私も笑って頷くと、冒険者ギルドを出ようとして、出入り口に向かう。

が、後ろから小さな咳払いが聞こえた。

今のカウリさんの咳、わざとだよね。

何かあるのかな?

……あっ!

「お父さん、入金された金額を確認しないと」

「さっき約束したばかりなのに、すっかり忘れて帰ろうとしたな」

「うん」

振り返ってカウリさんに小さく頭を下げると、入金された金額を確かめてから、冒険者ギルドを出た。

「フォロンダ公爵から、すごい金額が振り込まれていたね」

私の言葉に、お父さんがシエルの背で静かにしているソラ達を見る。

「ポーション代だな。そうだ、昨日、フォロンダ公爵から手紙が来ただろう?」

お父さんが私を見る。

「うん。『ソラとフレムの作るポーションが欲しいのでお願い出来ますか?』っていう内容だったよね」

「ぷっぷ~」

「てりゅ~」

名前を呼ばれたからか、ソラとフレムが小さな声で鳴く。

「うん。アイビー。ポーションを、ちょっと多めに作る事は出来るかな?」

お父さんの言葉に、私は首を傾げる。

「どうして?」

「ん~、説明は難しいんだけど、なんとなく必要になりそうな気がするんだ」

長年冒険者をしてきたお父さんの感なのかな?

「ソラ、フレム」

私はソラとフレムを見る。

「ぷっ?」

「てりゅ?」

ソラとフレムは、私を見て体を傾ける。

「青のポーションと赤のポーションを、ちょっと多めに作って欲しんだけど、大丈夫かな?」

私の問いに、ソラとフレムがなぜか私をじっと見つめる。

「えっと、無理ならいつもの量でいいんだけど」

ソラ達の態度に困惑しながら言うと、お父さんが不思議そうにソラとフレムを見る。

「いや、アイビー。これは期待した目をしていないか?」

「期待?」

お父さんの言った意味がわからず、私はお父さんに視線を向ける。

「ソラ達は、1日に何本のポーションを作っているんだ?」

フォロンダ公爵が、ソラ達のポーションを欲しいと言ってから、ソラ達は毎日ポーションを作ってくれている。

疲れるだろうから、毎日は作らなくていいと言っても、やめてくれないのだけど。

「体に負担が掛かるだろうから、1日5本までって言ってるの。ちょっと不服そうではあるんだけど」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

不服という言葉に反応したのか、ソラとフレムがシエルの上で頷く。

「だって、毎日だよ? 疲れが溜まって、体調を崩すかもしれないでしょ?」

「ぷ~」

「てりゅ~」

私の言葉に、ソラとフレムは、ものすごく不満そうに鳴く。

そんな私たちの様子を見ていたお父さんが笑い出す。

「一度、ソラ達の限界までポーションを作ってもらうのも――」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

お父さんの言葉を遮り、うれしそうに鳴くソラとフレムに、お父さんが視線を向ける。

「今のなし。やっぱり制限を入れたほうがいいみたいだ」

「ぷ~!」

「てりゅ~!」

不満げに鳴くソラとフレムに、お父さんが私を見る。

「限界まで作ってもらうのは怖い結果になりそうだから、やめような」

「うん」