1148話 ソラ達も?
1148話 ソラ達も?
ヒスさんと別れ、フォロンダ公爵の豪邸に戻る。
「おかえりなさいませ」
玄関に入ると、ドールさんが笑顔で出迎えてくれた。
「ただいま」
ドールさんは私の返事に頷くと、お父さんとシファルさんを見て少し考え込んだ。
「ドールさん、何かありましたか?」
お父さんはドールさんの様子に、少し不思議そうな表情をする。
「リュウの目撃情報があると報告しようと思ったのですが、どうやらご存知のようですね」
ドールさんの言葉に、お父さんとシファルさんが頷く。
「はい。冒険者ギルドで、リュウを目撃した冒険者達の話を少し聞きました」
シファルさんの説明に、ドールさんが納得した表情をした。
「そうでしたか。リュウの体色は青で、目撃したのは今から3時間くらい前です。その時は落ち着いた様子だったそうです」
ドールさんの説明に、お父さんとシファルさんが頷く。
私は、ドールさんがずいぶんと詳しく知っている事に首を傾げた。
「どうかしましたか?」
私の様子に気付いたドールさんが、私を見る。
「冒険者ギルドでも情報を集めている最中なのに、どうしてそんなに詳しく知っているのかなって思って」
「昔からの知り合いなんですが、森で魔物について調査しているんですよ」
「魔物の調査ですか?」
ドールさんの言葉に、私は首を傾げる。
「はい。最近は、魔物の中におかしな行動をする個体がいるらしく、それを調べているそうです。そしてその調査中にリュウを目撃したので、いつも通り、調査対象に近付けるところまで近付いて調べたそうです」
「そうだったんですか」
その人、リュウに近付いたんだ。
すごいな。
あれ?
でもどうして、ドールさんにリュウの事を話したんだろう?
知り合いだから?
「リュウに怪我などはなかったですか?」
シファルさんの問いに、ドールさんが頷く。
「はい、怪我などの情報は聞いていません。ですが、見えないところに怪我があった可能性はあります」
ドールさんの説明を聞きながら食堂へ行く。
「休憩なさいますか?」
ドールさんの質問に、シファルさんは首を横に振る。
「俺はいいです。ランカ達は部屋でしょうか?」
「はい。今日はそれぞれ部屋で用事を済ませると言っておられました」
ドールさんの返事にシファルさんは頷くと、食堂を出て行く。
お父さんと私は、ドールさんが用意してくれた冷たい果実水を飲む事にした。
「お父さん」
ドールさんが食堂から出て行くと、私はお父さんに声を掛ける。
「どうした?」
「昔からの知り合いの人はどうしてリュウの事をドールさんに話したんだろうね」
魔物について調べているという事は、冒険者だよね?
冒険者ギルドに報告したあと、わざわざドールさんのところに話しに来たのかな?
気にする必要はないんだけど、なんとなく気になる。
「アイビー」
私が考え込んでいると、お父さんの小さな声が聞こえた。
「多分、ドールさんの仲間というか部下じゃないかな」
「ドールさんの部下……」
私の呟きに、お父さんが頷く。
「ドールさんには、彼の為に情報を集めている者達がいると思う。ただこれに関しては、気にしないほうがいい」
気にしないほうがいい?
お父さんがそう言うなら、そうなんだろうな。
「わかった」
「アイビー、ドルイド。おかえり」
食堂にランカさん達が入ってくる。
「ただいま」
私がランカさん達に視線を向けると、ラットルアさんが私の傍に来た。
「アイビー、今日の用事は終わったのか?」
「うん。ラットルアさんは?」
「俺も今日の用事は終わり。買い出しは明日行く事にしているから」
「そうなんだ」
「何処へ行くんだ?」
私とラットルアさんの会話を聞いていたお父さんが、ラットルアさんを見る。
「防具を新調しようと思っているんだ。だから武器屋「マルール」へ行くつもりだ」
「マルールか。頼みがあるんだけどいいか?」
お父さんの言葉に、ラットルアさんが不思議そうな表情をする。
「なんだ?」
「矢を大量に注文してあるんだ。代金は既に払ってあるから、準備できていたら持って帰ってきてくれないか?」
「大量ってどれくらいなんだ?」
ラットルアさんの問いに、お父さんがにこっと笑う。
「最大サイズのマジックバッグ2個分だ」
「んっ?」
お父さんの返事に、ラットルアさんが首を傾げた。
やっぱり最大サイズのマジックバッグ2個分の矢を注文するのは首を傾げるのか。
マルールの店員さんも、驚いた表情をしていたもんね。
「最大サイズのマジックバッグ2個分だ」
「……そうか。わかった」
「アイビー。ソラ達はどうしたの?」
ランカさんが、焼き菓子が大量に入ったカゴを持って、私の前の席に座った。
「それが、今日は朝からちょっと変なんです」
私の説明に、ランカさんが真剣な表情をする。
「変? 何かあったの?」
「朝ごはんを食べたあとから、皆で集まって話し合っているみたいで。買い物も付いてこなかったんです」
いつもだったら、一緒に買い物へ行くのにな。
「そうなの。どうしたんだろうね」
私の説明に、ランカさんが首を傾げる。
「ソラ達だったら、ゴミを集めている部屋にいたぞ」
「えっ?」
ヌーガさんの言葉に、私は食堂の出入り口を見る。
扉に鍵をつけてもらったんだけど、中に入れたの?
「あぁあと、ガリットさんがゴミを補充していってくれたから」
ガリットさんが?
最近は、全然会えていないんだけど、ソラ達のご飯を持ってきてくれたの?
「どうしてガリットさんが?」
お父さんが不思議そうな表情で聞くと、ヌーガさんが少し考え込む。
「息抜きらしい。ソラ達と少し遊んでから『癒された』と言って帰って行ったよ」
「そうか。森で色々あるから、大変なんだろうな」
ヌーガさんの説明に、お父さんが頷いた。
「ガリットさんが来たから、ドールさんが鍵を開けてくれたのかな?」
「私は開けておりません……」
私がドールさんを見ると、彼は首を横に振る。
「えっ……」
だったら、誰が部屋の鍵を開けたんだろう?
「それより、ソラ達を見に行ったほうがいいんじゃないか?」
「うん、そうだね」
お父さんの提案に、私は頷くと席を立つ。
そして急いで食堂を出ると、ソラ達のご飯が置いてある部屋に向かった。
「あっ」
部屋に近付くと、ソラ達がポーションやマジックアイテムを消化する音が聞こえた。
そして「ぽん」という音も。
「部屋の中を見るのに勇気がいるな」
お父さんの呟きに、一緒に来たランカさん達が笑う。
私は、ソラ達がいる部屋に来ると、声を掛ける前に中を覗き込む。
「うわ~」
部屋中に転がっているキラキラ光るポーション。
そして、色鮮やかな透明度の高い魔石。
「すごいな。あっ」
お父さんも部屋の中を覗き込むと、小さな声で呟いた。
そしてフレムとソルの様子を見て、驚いた声を上げた。
「あれって……」
私もお父さんの視線の先を見て、思わず声がこぼれた。
「フレムとソルの共同作業だな」
ラットルアさんがフレム達を見て楽しそうに言うと、シファルさん達が頷いた。
「あの魔石、見た事があるな」
お父さんの言葉に、私は頷く。
「防御の魔石だね」
魔物達に酷い事をしている研究所を潰しに行った時に、2匹が作ってくれた魔石だよね。
皆が怪我を負ったから、防御の魔石は効かなかったのかと思ったけど、魔法陣からの攻撃は完全に防いでくれていたとあとでわかったんだよね。