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1151話 スライムの目的とは?

最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。 — ncode.syosetu.com · All chapters

1151話 スライムの目的とは?

「しゅわ~、しゅわ~」

スライムは、テーブルに並んだポーションを全て食べきると、ジナルさんを期待に満ちた表情で見た。

ジナルさんは、そんなスライムの様子を見て笑うと、テーブルにもう一度ポーションを並べた。

それが数回繰り返されると、スライムの様子が変わった。

「えっ、もしかして食べ過ぎたのか?」

「それならソラが止めるだろう」

ジナルさんが焦った声を上げると、お父さんがソラの様子を見て言う。

「そうだよな」

ジナルさんがスライムを見ながら呟くと、スライムがピョンピョンと2回跳びはねた。

ポンッ。

「あっ、ポーション……」

皆が見ている中、スライムがソラの作るキラキラ光るポーションとよく似たポーションを作った。

そして、そのポーションをジナルさんのほうに転がした。

「くれるのか?」

ジナルさんの言葉に、スライムはなぜか胸を張った。

「そうみたいだな」

お父さんがそう言うと、ジナルさんは転がっているポーションを手に取る。

そして、キラキラと光るポーションをジッと見つめると、私を見た。

「アイビー、このスライムは何がしたいんだろうと思う?」

ジナルさんの問いに、私は首を傾げる。

「ジナルさんにポーションをあげたかった、とか?」

私の返事に、ジナルさんが考え込む。

「ソラはどう思う?」

ソラに聞くと、ソラは体を左右に揺らした。

「違うの?」

「ぷっぷぷ~」

違うのか。

だったら、他に考えられる事はなんだろう?

「もしかしてポーションというか、ご飯を貰ったから、そのお礼とか?」

「まさか……」

「ぷっぷぷ~」

シファルさんがお父さんの言葉を否定しようとすると、ソラの鳴き声が聞こえた。

「えっ、本当にそうなのか?」

ジナルさんが驚いた声を上げると、スライムがピョンと跳びはねた。

「そうなんだ。もしかして、これからもご飯のポーションをあげれば、キラキラ光るポーションを作ってくれるのか?」

ジナルさんの問いに、スライムがまた跳びはねる。

「そうみたいだな」

お父さんがジナルさん達の様子を見て言うと、シファルさんが興味深げにスライムを見つめた。

「この子、どうするんだ?」

シファルさんの問いに、ジナルさんが首を傾げる。

「光るポーションを作れるんだ。保護が必要だろう」

シファルさんの指摘に、ジナルさんがハッとする。

「そうだな。でもどこで保護を……」

ジナルさんの呟きに、スライムはある方向を見る。

お父さんがスライムの見た方向を見て、少し不思議そうな表情をした。

「偶然かもしれないが、捨てられた大地のほうを見たな」

「えっ? もしかして、もともといた場所に戻りたいのか?」

ジナルさんがスライムに聞くと、スライムはジナルさんを見て頷いた。

「そうか。まあ、あそこは部外者は入ってこられないし。保護する場所としては……魔物が溢れると危険だが、人からは守れるな」

それは保護する場所としてどうなんだろう。

でも、スライムが選んだなら、仕方ないよね。

「スライムの目的もわかったし、一度戻るよ。この子も、元の場所に連れて行かないと駄目だしな」

ジナルさんは、スライムを抱き上げると、肩から下げたバッグに入れた。

「悪いな。まさかポーションを欲しがっているとは思わなくて。これなら、もう少し頑張れば俺にもわかったかもしれない」

ジナルさんが申し訳なさそうな表情で言うと、お父さんが首を横に振る。

「ソラが作るポーションを、他のスライムでも作れるとわかって良かったよ。ソラだけだったら、ソラに負担が掛かったかもしれないから」

お父さんの言葉に、私は頷く。

私も、それが心配だったんだよね。

ソラだけに頼り過ぎるのは、ソラに良くないと思ったから。

「そうだな。あっ、そうだ」

ジナルさんが部屋から出ようとすると、楽しげな表情で私達を見た。

「黒のスライムの誕生に立ち会ったんだって?」

ジナルさんの言葉に、私達は頷く。

「そこで生まれた黒のスライムかどうかはわからないが、捨てられた大地の傍で多数の目撃情報があるんだ」

えっ、そうなの?

ジナルさんの言葉に、私は思わず彼を凝視する。

「多数ってどれくらいなんだ?」

お父さんの問いに、ジナルさんが少し考え込む。

「同時に目撃されていたりするから確実ではないけど、10匹はいるかもしれない」

「そんなに?」

私が驚いた声を上げると、ジナルさんが頷く。

「あぁ、ちょっと数が多いから、冒険者達から『何かあるのではないか』と不安な声が上がっているくらいだ」

「そうか」

ジナルさんの話を聞いていたお父さんが真剣な表情で頷く。

「捨てられた大地周辺で、他に変わった事は?」

シファルさんの問いに、ジナルさんが考え込む。

「変わった事か……捨てられた大地から魔物が溢れる回数が増えているとか、捨てられた大地の傍にあったマジックアイテムが勝手に動き出したとか、魔物の急所が個体によって異なったとか……」

ジナルさんの言葉に、シファルさんが目を見開いた。

「それは、色々とあり過ぎるな」

「そうなんだよ。まぁ、あの場所の事だから、どれも重要な変化だと思うけど」

ジナルさんが少し疲れた表情で呟く。

「んっ?」

ジナルさんがスライムの入っているバッグを見る。

バッグは外から見てもわかるくらいに動いていた。

「どうやら、捨てられた大地へ戻れと言っているみたいだな」

「まさか、えっ、動きが止まった」

お父さんは、ジナルさんの言葉に動きを止めたバッグに視線を向け、驚いた声を上げた。

「あれ? このスライム、ここに来るまで、ここまで明確に意思表示をしていたかな?」

ジナルさんの呟きに、私はソラを見る。

ソラは最初から、しっかり意思表示していたよね。

「今日は助かった。また、この子に変化があったら知らせるよ」

ジナルさんはそう言うと、少し急いで捨てられた大地へ戻った。

きっと忙しい合間を縫って、ここに来たのだろう。

「少し気になるな」

お父さんの言葉が気になり、私は首を傾げる。

「何がだ?」

「捨てられた大地の傍に、スライムが集まっている事だ」

シファルさんの問いに、お父さんが真剣な表情をする。

「確かにそうだな。捨てられた大地へ行くと決まってから、あの場所についての噂を過去にさかのぼって集めてみたんだけど、スライムが集まったという噂はなかった。まぁ、完璧に情報が隠されている可能性もあるけど」

捨てられた大地の噂を今だけでなく、過去のものも集めたんだ。

知らなかったけど、皆、それぞれ動いているんだね。

「捨てられた大地の過去の噂か。どんなものがあった?」

お父さんとジナルさんが話しながら食堂へ向かう。

私とソラ達もそのあとを追うように食堂へ行く。

「ソラ、さっきは協力してくれてありがとう。ソラに似たきれいなスライムだったね」

「ぷっぷぷ~」

ソラの満足そうな鳴き声に、私は思わず微笑んだ。